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第8回 公開医療講座Q&A集

「なんで怖いの?メタボリック症候群」 福井講師 Q&A集
年1回の定期健診で中性脂肪が増加し、高脂血症の疑いありと言われました。改善の方法としての食事等についてお聞かせください。(体重54㎏、身長168㎝)
中性脂肪の食事療法は、体内で中性脂肪を作ってしまう内因性の要素と食事から直接吸収される外因性の要素を考える必要があります。
内因性の要素の対策として、(1)一日全体のエネルギー制限で内臓脂肪を減少させる、(2)糖質、アルコール制限を行うこと、が挙げられ、外因性の要素として、(3)脂肪摂取制限、(4)食物繊維による排泄促進、があります。
よって、果糖や砂糖を制限したり、お菓子、アルコールに注意したりしましょう。
 
メタボの診断基準の腹囲ですが、男性85㎝女性90㎝以上についての議論が新聞等で載っておりました(男性90㎝以上だったと覚えておりますが…)。これについての見解をお聞かせください。
腹囲が男性94cm、女性80cmという世界基準や、その他欧米に合わせた基準など腹囲の基準はご指摘のとおり、いろいろ議論があるのは事実です。そもそも大切なのは内臓脂肪の量であって、腹囲はそれを推測するためのシンプルな目安として用いていますので、どの基準にも限界があります。数字を絶対視して、たとえば85.1cmでは心配で84.9cmなら心配ないと解釈してしまうことのほうが問題です。
そもそも、日本人と欧米人では、肥満の程度や体型は全く異なり、欧米の基準を用いることができません。このため、日本の基準は、腹部CTから内臓脂肪の面積を求め、100?以上の内臓肥満のある人が、どの程度の腹囲があるのかを相関させて求めたものです。あくまでも目安と考えてください。特に女性は皮下脂肪が多く、腹囲から内臓脂肪の量を推測することは、無理があります。現段階では正確に知りたければ腹部CTをとることが最も望ましいと思います。
 
メタボリック・シンドロームには総コレステロールは重要ではないのでしょうか。
確かに総コレステロールは、メタボリック・シンドロームの診断基準に入っていません。これは、コレステロールが動脈硬化に影響を与えないのではなく、すでに動脈硬化の強い危険因子であることが確立されていて、メタボリック・シンドロームを構成する一つの因子レベルではなく、メタボリック・シンドロームそのものに匹敵する別の強い危険因子ですので基準に入っていません。
また、コレステロールの発生機序が、内臓脂肪に関連せず、別の病態だと考えられていることも理由の一つです。痩せているのにコレステロールが高いという方が多くいることからもわかると思います。
そもそも、メタボリック・シンドロームという考え方は、高コレステロール血症に次ぐ、新たな動脈硬化の危険因子をみつけるために考えられた概念なのです。ですので、メタボリック・シンドロームには総コレステロールは基準に入っていませんが、動脈硬化には、最も大切な基準です。
 
メタボリック症候群は若い時からの生活習慣に気をつける必要があることは分かりますが、特に中学生ぐらいより気をつけなければいけないことを教えてください。
子供の肥満は、そのまま成人肥満に移行する確率が40-85%にもおよぶといわれ、将来高い割合でメタボリック症候群になる可能性があります。しかも、脂肪細胞の数が増えていますので痩せにくい肥満と言われます。
子供の肥満の原因として、スナック菓子などカロリーの高い物の摂取やTVゲームなど室内遊びの増加による運動不足、過保護(欲しがるときに欲しいものを与えてしまう)、肥満の親と同じライフスタイルに影響を受ける、遺伝などが挙げられます。よってこれらに対して十分注意してください。
 
メタボを予防するのに特に重要な栄養素は何でしょうか。また、これを食事のみから摂取するのが困難なとき(例えばストレスの多い人、老人など)、サプリメントで補給するのは役に立ちますか。
そもそものメタボの原因は過食です。ですので、これを食べたら良いというものはありません。食べないことが最もよいことです。ただ、あまりダイエットしすぎた場合、ビタミンやミネラルが不足しがちになります。そこで、ビタミンやミネラルを多く含む野菜のとり方は重要です。とにかく食事の摂り方で大切なことは、バランスよく食べることです。
サプリメントに関しては、よくいわれる酸化ストレスは、確かに種々の実験で抗酸化ビタミン(ビタミンC,Eなど)の摂取により動脈硬化の発症抑制が認められたものもあります。しかし、実際の多くの人を対象にした調査では、通常の食事に上乗せしてビタミンCやEを摂っても、動脈硬化性疾患発症抑制にはならなかったという報告が多く、残念ながら医学的には効果がないと考えられています。
 
配布資料P9「友達に誘われついついお茶が多くなる」とありますが、お茶やコーヒー(お砂糖やミルクを入れないもの)を飲むことは問題ないのではないでしょうか。
文字通りのお茶やコーヒー(砂糖やミルクをいれないブラック)だけであれば、糖分がないので、これだけを摂取することは問題ありません。ただ、通常お友達とお茶でひと休みというときには、クッキーや和菓子、果物などを一緒に摂ることが多いと思います。この結果、カロリーが増えてしまうのです。
 
心血管病でもメタボリックの教室への参加ができるのですか。
心臓病のひとは、運動が危険というイメージをお持ちだと思います。確かに薬と同じで、過剰であれば危険になることもありますが、適切な方法、量であれば、動脈硬化を防ぎ、長生きできることが証明されています。 当センターは、心臓病の専門病院です。よって1人1人に応じた詳しい検査をし、その方の病態をきちんと把握できますので、適切な運動、食事療法ができます。実際、多くの狭心症や心筋梗塞を起こした患者さんが参加しています。
 
貴院で実施されているメタボリック症候群改善コース受講後の(即ち6ヶ月間のサポート後の)データは如何なものでしょうか。
2007年4月までで6ヶ月経過した38人の結果では、中途脱落者が6人です(内訳は仕事や他疾患等でやむを得ずできなかった方が3人で、残り3人がいわゆる継続できなかった方です)。この中途脱落者6人も含めて医学的に効果が認められる前値の3%以上の減量に成功された方が63%、より効果が認められる5%以上減量に成功された方が、53%となっています。その後もほとんどリバウンドされた方がいないことが特徴です。
 
メタボの入院はどういう手続きが必要ですか。
通常の外来診療と同じですので、まず循環器内科外来(平日の月~金の午前11時まで受付)を受診していただきます。紹介状は特になくても構いません。検査の結果(過去の検診の結果を持参していただけると参考になります)メタボリック症候群に該当し、血圧、糖、脂質が要医療のレベルである方が対象となります。対象となった場合、水木金の2泊3日の入院日を決めて開始となります。詳しくは当センターのホームページを参考にしてください。
 
30分位ウォーキングをするとふくらはぎが痛くなります。どうすればよいでしょうか。
足の血管が狭くなって生じる下肢閉塞性動脈硬化症の可能性があります。脈波といわれる手と足の血圧を同時に計ることで簡単に診断ができます。脈波測定できる内科または当センターを受診ください。同じような症状を呈する病気に整形外科領域で脊椎管狭窄症があります。両者を同時にもつケースも多いので注意しましょう。
 
私(76歳)は、80歳の夫と私の二人家族で、同じ食事をしています。私は好き嫌いなく食べます。夫はやせ気味、私は軽肥満です。夫は私のことをお母さんが悪いから太ると言い、私は体質・遺伝だからと反論しますが、太る体質はどうしたらよいでしょうか。
残念ながら、太る体質の遺伝はあります。これには2つの意味があって、一つは遺伝子のレベルで直接、糖や脂質代謝、血圧、脂肪などに影響を与える点と、もう一つは親子の生活習慣は一緒に生活してきたのですから似てしまうという後天的な意味合いです。 前者は、変えることはできませんが、後者はきちんと自覚して対応すれば改善できます。遺伝だからとあきらめるのではなく、とにかく一歩を踏み出しましょう。
 
79歳男性、身長160㎝体重50㎏でBMIは20以下で痩せ型なのに、ヘルスメーターのデータで内臓脂肪のレベルが「11」です。
ヘルスメーターの内臓脂肪測定の原理は、電気インピーダンス法といって生体に微弱な電流を通じて体内の電気抵抗を測定し、その抵抗の変化で体脂肪率を推測しています。簡便な方法ですが測定誤差が大きく、特に体の水分量に大きく影響をうけます。
よって、測定時間や飲水、排尿、排便 体温などにより測定値にばらつきを生じます。また、やせ型の人の脂肪率を多めに、肥満型の人の脂肪率は、少なめに算定する傾向があります。とりあえず、腹囲を目安に考えましょう。
 
HDL=40~80と聞いていますが、100以上あります。
HDLコレステロールは、善玉コレステロールといわれ、血管中のコレステロールを肝臓に戻す役割をしています。よって高いほど動脈硬化になりにくいといわれます。しかし、疫学調査で100mg/dlを越えると再び動脈硬化が増えるという報告もあります。ただ高いリスクではないので、あまり気にされなくてよいと思います。
 
・2年前心筋梗塞、現在も循呼センター月1回の通院をしています。
・本日の講座ずばり肥満・メタボで悩んでいます。
・78歳女性。膝・腰痛もあって動くこともつらいのが本音です。
時々の心臓つらさも抱える今、今後の生活指導の具体的な指導を伺いたく思います。
膝、腰が悪い方の運動は確かに大変です。一般に膝や腰に優しい運動として、水中歩行や自転車が挙げられます。膝、腰の病気の程度によって、方法や量に違いがありますので、整形外科で確認をとってください。
 
「肥満」は百害あって一利なしですか。
これまでの多くの研究の結果、肥満に健康、長寿は望めないということは言えます。肥満に伴う病気として、今回のメタボリック症候群をはじめとする多くの生活習慣病や、大腸癌、睡眠時無呼吸症候群などがあります。また体重の負荷により、膝や腰を痛める整形外科的疾患や、足の静脈瘤、ヘルニアなど多くの疾患の原因となります。また、同じお腹の手術をする場合、肥満のあるかたのほうが手術そのもののリスクが高いといわれます。このように健康で長寿を望まれるのであれば、肥満の改善が必要です。
 
血管の若返りは可能でしょうか。その方法はどのようなものでしょうか。
イメージとしてはお肌のような感覚で直接的に血管を若返らせたいということを意味されているのと思います。その意味では、直接血管を20代のころのように若返らすことはできません。ただ、進行を遅らせることはできます。これを医学的な表現をすると動脈硬化を防ぐことそのものになります。動脈硬化の危険因子であるメタボリック症候群、LDLコレステロール、高血圧、糖尿病、喫煙、低HDLコレステロールを改善することが最も効果のあることです。
個人ができる動脈硬化を防ぐ方法として、医学的に根拠があることは、食事では、過剰なエネルギーを摂取しない。動物性脂肪をさける。魚類などに含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす。大豆蛋白はLDLコレステロール値の低下、HDLコレステロール値の上昇作用があり、動脈硬化の予防効果が示されています。
よくいわれる酸化ストレスは、確かに種々の実験で抗酸化ビタミン(ビタミンC,Eなど)の摂取により動脈硬化の発症抑制が認められたものもあります。しかし、実際の多くの人を対象にした調査では、通常の食事に上乗せしてビタミンCやEを摂っても、動脈硬化性疾患発症抑制にはならなかったという報告が多く、残念ながら医学的には効果がないと考えられています。
また、適切な運動は動脈硬化を防いでくれる効果はきちんと証明されています。

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