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間質性肺炎

間質性肺炎interstitial

間質性肺炎

間質性肺炎とは?

肺は非常に目が細かいスポンジのように、肉眼では見えない小さな無数の空間が集合した構造をしています。口・鼻・気管・気管支を通って肺に入ってきた空気は、肺の末端の肺胞(はいほう)と呼ばれる、小さな部屋に入ります。小さな部屋は肺胞隔壁(かくへき)とよばれる壁で囲われており、薄い壁の中の毛細血管との間で酸素と二酸化炭素のガス交換を行っています。このガス交換をおこなう肺胞隔壁などを「間質(かんしつ)」といいます。「間質性肺炎」は、この間質に免疫の細胞が集まったり(炎症)、コラーゲンなどの線維質が増えた状態(線維化)であり、線維化がおこるため「肺線維症」とも呼ばれます。
炎症細胞や線維の増加により、肺胞隔壁が厚くなったり、壊れることにより、毛細血管への酸素の取入れが悪くなり低酸素血症をきたし、呼吸困難をきたします(図1~3)。また、本来はスポンジのように柔らかい肺全体が線維化や肺胞の潰れにより硬くなるため、ひと呼吸ひと呼吸の努力が必要となり、呼吸困難の原因になります。

症状

一般的な症状は長引く咳(痰がからまない乾いた咳)や、坂や階段を上るときの呼吸困難感です。健康診断などで発見される場合、症状がないことも多くあります。

種類

原因不明の特発性間質性肺炎と原因があきらかな二次性間質性肺炎に分けられます。

  • 原因不明のもの
    特発性間質性肺炎と呼ばれます。病変の形態学的な特徴などにより、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)、非特異性間質性肺炎(NSIP)、剥離性間質性肺炎(DIP)、器質化肺炎(COP)、pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE、いわゆる上葉優位型肺線維症)などに病型分類がされます。また、一定の病型に当てはまらない場合は、分類不能型間質性肺炎とされます。特発性間質性肺炎は、国の指定難病のひとつです。診断基準を満たし、動脈血の酸素量および歩行試験での酸素飽和度の最低値によって決定される重症度分類が4段階のうちIII度以上である、あるいは軽症でも一定期間高額な医療費負担がある方は、医療費の補助が受けられます(難病センターホームページ)。
  • 原因の明らかなもの
    関節リウマチ・全身性強皮症・皮膚筋炎などの膠原病といわれる全身性疾患の肺病変としての膠原病肺、空中に浮遊するカビや鳥の成分に対するアレルギーで起こる過敏性肺炎(夏型過敏性肺炎、鳥飼病など)、漢方薬・抗がん剤など各種薬剤やサプリメントが原因となる薬剤性肺炎、職業性の粉塵吸入でおこる塵肺(石綿肺、珪肺など)、悪性腫瘍に対する放射線治療により起こる放射線肺臓炎などがあります。膠原病が疑われる場合には、膠原病・リウマチ科専門医と連携をとって診断を進めます。また、当初原因がはっきりしない特発性間質性肺炎とされていた方が、あとから膠原病を発症することもあります。関節リウマチ以外の膠原病は指定難病であり、職業性の吸入によっておこる疾患の一部は労災補償の対象となります(厚生労働省HP)。

検査

間質性肺炎の診断・病型分類は、治療方針及び管理方針の決定のために重要です。問診、診察、血液検査、胸部単純X線写真・高分解能CTなどの比較的低侵襲の検査や、必要時には気管支内視鏡検査(気管支肺胞洗浄、経気管支肺生検、経気管支クライオ肺生検 https://www.premedi.co.jp/お医者さんオンライン/h01000/)、胸腔鏡下肺生検を行い、得られた情報を統合し、呼吸器内科医・画像診断医・病理診断医の討議により診断を行います(多分野による集学的検討MDD:multi-disciplinary discussion)。また重症度判定、経過中の状態の評価、在宅酸素必要度の判断などのため、呼吸機能検査、6分間歩行試験、動脈血液ガス検査を定期的に行います。間質性肺炎により心臓への負荷がかかるため、心臓超音波検査(心エコー)も状況に応じて行います。

治療

診断・病型分類に応じて、原因からの回避、ステロイド・免疫抑制剤・抗線維化薬などの薬物治療、在宅酸素療法、呼吸リハビリテーション、栄養療法を行います。呼吸困難を回避する生活様式やワクチン接種による感染予防なども重要であり、生活指導を行います。これら内科的な治療を行っても進行し、年齢が若い方は、肺移植の適応となります(日本臓器移植ネットワークHP)。

合併症

間質性肺炎の初診時および経過中に様々な合併症が出現します。長期の経過にともなう慢性呼吸不全、通常は緩徐に経過する間質性肺炎が感染・薬剤・肺手術・気管支鏡検査などを契機に日・週単位で急速に悪化する間質性肺炎急性増悪、肺の表面に穴が開くことにより肺から空気漏れがおこる気胸、心臓への負担による肺高血圧・右心不全、喫煙歴のある間質性肺炎でリスクの高い肺癌、抗酸菌・真菌(カビ)などによる感染症、体重減少やうつ傾向などがみられ、それぞれの治療を行います。身体的な合併症ではありませんが、医療費が高額になることや、疾患の進行により活動性が低下するため、指定難病、身体障害者手帳(呼吸機能障害)、介護保険の申請を状況に応じて行います。

間質性肺炎は比較的まれな疾患で、その診断・治療方針の決定、合併症の管理には専門的知識が必要です。当センターでは専門外来を設け、全国から多くの方々を受け入れています。近隣の大学病院をはじめ、多くの病院からも紹介していただき、年々患者数が増加しています。多数の国際共同治験や全国規模の共同研究にも参加し、間質性肺炎の新たな治療薬の開発や、病態解明のために貢献しています。治療が困難な間質性肺炎もありますが、患者さんとの対話を大切にし、間質性肺炎センターを中心にチーム医療で診療に取り組んでいます。

間質性肺炎センター

間質性肺炎外来

呼吸器内科