第12回 公開医療講座Q&A集
「血流を再開させろ!~心筋梗塞の診断と治療」 中戸川講師Q&A集
Q | 胸痛といっても、胸の筋肉が痛いのか、あるいは心臓が痛むのか、私はしばしば分からないことがあります。 |
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A | 筋肉痛ならば胸を反らしたり腕を動かした時に、痛みが出たり増強したりすると思います。 心筋梗塞や狭心症の痛みは、労作時や安静時に出現し痛みとともに冷汗、呼吸困難、めまいといった随伴症状が出現することが多いです(あくまで典型例についてですが)。 気になるようでしたら医療機関の受診を勧めます。 |
Q | 常に左側の肩こり、左背中の痛みがあるが、狭心症、心筋梗塞に関係はありますか? |
A | 常に痛みがあるようならば上記疾患の痛みの可能性はかなり低いと思います。 心筋梗塞を発症すると胸痛が20分以上、長いと1日以上持続しますが日常的に感じているようなので可能性はやはり低いと思います。 気になるようでしたら医療機関の受診をお勧めします。 |
Q | 循環器・呼吸器という範囲が分からず、どこに行って診てもらえばと考えていました。私は坂を上ったり、階段の昇り降りで息切れがしたり苦しかったりしたことがありました。循環器外来にいってみようと思います。息切れがするのは病気でしょうか? |
A | 循環器系の病気としては、心不全、狭心症が考えられます。呼吸器系の病気としては肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患が疑われます。一度受診することをお勧めします。 |
Q | たばこは肺だけでなく心臓にもかなり影響あると聞きましたが、どの位、影響あるのでしょうか?(健康診断時に医師に喫煙を注意され禁煙に至った。) |
A | 喫煙は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)を発症させる危険因子のひとつです。血管に障害を与えて動脈硬化を悪化させます。また、ニコチンが血中に入ると血管を痙攣させ狭心症を誘発することがあります。 |
Q | 中性脂肪や高コレステロールと心臓病との関係についてお聞かせください。心臓病とストレスとの関係についてもお願いします。 |
A | コレステロールの中でも悪玉コレステロール(LDLコレステロル)が高くなると動脈に粥腫を形成し狭心症や心筋梗塞の原因になります。中性脂肪も高値になりメタボリック症候群になると、やはり狭心症や心筋梗塞の原因になります。ストレスも虚血性心疾患の危険因子の一つと言われていますが、これだけで発症する危険性は低いです。 |
Q | 日常、血管の状態をどのように検査すればよろしいでしょうか? |
A | 健康診断を年1回受診し、高血圧・糖尿病・脂質異常症の有無、心電図・胸部X線で異常所見はないかチェックしてください。血圧脈波検査、頸動脈エコー検査、心エコー検査、運動負荷心電図検査、心臓CTやMRIも有効です。当センターでは心臓検診を行っていますので気になる方はお問い合わせください。 |
Q | 動脈硬化を防げる生活について教えてください。 |
A | 一日三食で減塩食、低コレステロール食、バランスの良い食事を心がけてください。 適度な運動習慣(週3日以上、一日30分以上の散歩)も予防効果があります。禁煙も重要です。アルコールは適量(ビールならば大びん1本、日本酒なら1 合、ウイスキーは水割りシングル2杯まで)ならばいいです。ただし、糖尿病や肝機能障害のある方はもっと少なめです。 |
Q | 心電図でT波異常(平坦?)を指摘され健診で再検査と言われましたが、どちらで行うか、またT波異常とはどんな事なのか教えてください。 |
A | 循環器内科のある病院を受診し二次検査をお勧めします。心電図異常が即、心臓病ではありませんがT波異常があると虚血性心疾患や心肥大等を疑います。 |
Q | 心室細動などの合併症は必ず起きますか? |
A | 心筋梗塞を発症後、早期に治療を受ければ合併症(不整脈、心不全、心破裂)を起こす確率は低いですが、心室細動の発症早期の出現率は10%くらいと言われています。 |
Q | 心筋梗塞と脳梗塞の関連はありますか? |
A | どちらも動脈硬化性の疾患であり関連があります。一方を発症すると他方を発症するリスクは既往のない方に比較して高いです。危険因子(高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙)の精査加療が重要です。 |
Q | カテーテル検査のリスクについて教えてくだい。 |
A | 重篤な合併症(死亡、心筋梗塞、脳梗塞など)を起こす危険性は数千例に1例と言われています。他にはカテーテル刺入部の内出血・血管損傷・神経障害、感染症、造影剤によるアレルギー・腎機能障害などがあります。 |
Q | 粥腫を残したままステントを入れた後、5~10年後、そこはどうなっていますか? |
A | ほとんどの場合、ステント留置部位は約1ヶ月で安定し皮膜で覆われます。同部位で再梗塞を起こすことはほとんどありません。ただし、従来型のステントの場合、約20%の確率でステント内が再び狭くなり再治療が必要になることがあります。 ※ 薬剤溶出性ステントの場合は違いますが、急性心筋梗塞のときに使用していませんので、省略させていただきます。 |
Q | 治療済みの方は、運動などしてはいけないのですか? どのような運動なら良くて、時間はどの位でしょうか? |
A | ステント治療後、約1ヶ月経てば安定するので運動は可能です。一般的には有酸素運動が有効で、簡単なのはウオーキングで週3日以上、一回30分以上が目安です。注意点は脱水にならないよう水分補給をして、疲れる前に止めるくらいがいいです。 |
Q | 「治療後2週間のリハビリ」とは、どのようなことをするのですか? |
A | 心筋梗塞になると心筋にダメージがあるので、徐々に負荷を増やしていき日常生活が可能なレベルで退院となります。具体的には座位→立位→歩行→階段・入浴と負荷レベルを上げていきます。退院後も通院可能な方は約5ヶ月間(保険適応)まで心臓リハビリ(ウオーキングマシンや自転車)を行っています。 |
Q | 意識なし。119番。AEDが届くまでの間、口から空気を吹き込む人工呼吸はしないで、胸骨圧迫(1分間に100回)だけでよいということを聞きましたが、誤りでしょうか? |
A | 胸骨圧迫による心臓マッサージのみでも有効です。 |
Q | 突然、胸痛など気になる発作が起こったとき、初めての患者でも救急外来で受け付けてもらえるのでしょうか? |
A | 当センターでは紹介状のない初診の方も診察しています。もし、健診の結果や常用薬があれば持参してください。 |
「いびきは健康の黄信号~本当は怖い!睡眠中の無呼吸」 小松講師Q&A集
Q | 十数年前にこの無呼吸症候群(SAS)をはっきりと確認しました。しかしその後はなくなったように思います。もしそうなら、何故なくなったのでしょうか?鼻炎を始終起こすのですが、それもSASの原因となるものですか? |
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A | なくなる原因としては、(1)体重を減量できた場合、(2)子供のとき大きかった扁桃やアデノイドが成長とともに縮小したり、咽頭腔の拡大とともに目立たなくなったりした場合、(3)鼻閉が治った場合等が考えられます。 鼻炎はSASの原因になる場合もあります。鼻炎は鼻の通気を悪くし、鼻閉の原因となります。講演でも述べましたが、狭い鼻腔で息を吸おうとすると、咽頭・喉頭に内側へ引っ張られる力がはたらき気道の内腔がより狭くなり気道が閉塞しやすくなります。また完全に鼻閉になると口呼吸となり、上を向いて口を開けると下あごが多少下にずれてより咽頭部を狭くする傾向になります。 |
Q | 主人がいびきがすごいのですが、どうしたら治りますでしょうか? |
A | 講演でも述べました通り、まずは横向きで寝てみるように練習してもらうとよいでしょう。また、アルコールや睡眠薬を飲まれているのであれば中止したり、喫煙習慣のある人は禁煙をしたりすることをおすすめします。それでも改善がなければ、耳鼻咽喉科でご相談されてもよいと思います。 |
Q | 主人が無呼吸の状態があります。最近、横向きで寝るようになりました。話を聞いていて中~重症のように思います。検査、自宅で行うのは、本人がいなくても借りることはできますか? |
A | 検査等はすべて保険診療で行っています。必ず最初は本人に受診していただかなくてはなりません。簡易検査機器の返却は代理の人でも可能です。 |
Q | 「枕を高くしないと眠れない」と言って枕を高くしています(身長183㎝、体重98㎏)。枕に関係ありますか?いびきがひどく無呼吸もあります。家の者は心配していますが、どちらへ相談すればよいのでしょうか。 |
A | 枕もあまり高いと、首が曲がりすぎて気道を圧迫してのどの奥を閉塞する可能性があります。 SASの相談は最寄りの呼吸器内科、耳鼻咽喉科や睡眠専門クリニックへご相談されるとよいでしょう。大学病院などでは睡眠学講座やいびき外来など専門に検査・治療を行っている病院もあります。また、病院によっては循環器内科の先生や神経内科の先生が診療を担当されている病院もあります。 |
Q | 睡眠は充分で、起床時、熟睡感あります。しかし日中、特に午後眠くなることが最近多くなりました。SASを自覚していないからでしょうか?年齢は78歳です。 |
A | SAS以外にも日中の眠気をもたらす病気はあります。心配でしたら睡眠専門の病院・医院の受診をおすすめします。 |
Q | 毎日の睡眠は不安なくできますが、夜中に起きてトイレ時、のどがカラカラに渇きます。何らかの異常があるのですか? |
A | 夜中にのどが渇く原因として、鼻がつまっていて口で呼吸している場合や、糖尿病などになっていて高血糖になっている場合などがあります。心配でしたら一度内科の先生に診てもらうとよいでしょう。 |
Q | 呼吸回数が平均して50回台/分です。呼吸器の障害とは何か関係がありますか?また、よだれが多く枕が濡れるほどです。関係はありませんか? 70歳台、男性。 |
A | 呼吸回数は通常多くても30回/分以内です。呼吸回数が50回台/分は明らかに異常です。すぐに病院に行かれた方がよいでしょう。 よだれが多いのは口をあいて寝ているからと考えられます。口を閉じて、鼻呼吸で寝るように心がけて下さい。 |
Q | SAS原因による酸素欠乏等から「発作」を起こすことがあり得ますか?子供がそれらしき様子で、数年前、年1~2回発生、ここ数年は発生していませんが。脳波、その他の検査でも異常なしです。 |
A | 「発作」にもいろいろありますが、SASにより狭心症や心筋梗塞や不整脈などの「心臓発作」を起こす場合はあります。「てんかん発作」や「喘息発作」に関しては因果関係不明です。 |
Q | 夜間の頻尿は何回くらいが異常ですか? |
A | 一般的に3回以上を頻尿といっています。 |
Q | SASは遺伝性がありますか? |
A | SASに関し明らかな遺伝はありません。ただし肥満、扁桃肥大、小顎症などは親子で似る場合もあります。 |
Q | レム睡眠による無呼吸について教えてください(横向きのとき)。 |
A | SASで問題となる無呼吸の多くはノンレム睡眠中の無呼吸です。レム睡眠はでは正常でも無呼吸となることがありますが、AHIが5未満であれば気にすることはありません。一説では横向きではレム睡眠が増えるともいわれ、これによる無呼吸が少し増える場合があるといわれますが、軽症のSASの患者さんにとっては横向きで寝ることは有効と考えられます。 |
Q | SAS予防に有効な運動はありますか?例えば、首の周囲の筋力を高めて頸部気道の肥満を局所的(重点的)に落とすなど。 |
A | 特に有効な運動は証明されていません。首周囲の脂肪も重要ですが、腹部内臓脂肪も多いと横隔膜を挙上させて、呼吸を浅くしてしまいます。全身のダイエットが重要と考えます。 |
Q | SAS検査は予約するのですか?時間はどれ位かかりますか?問診結果20点となりました。是非検査したいです。 |
A | 簡易型の検査もPSGもすべて予約検査です。予約のためにはまず病院受診が必要です。そのときの外来の混雑具合にもよりますが、初診で受診の場合は待ち時間も入れて1~3時間ぐらいはかかります。 PSGの結果については、検査翌日午前中までには解析結果が出ます。朝すぐに退院したい方は後日外来で詳しく結果を説明しますが、昼前まで待っていただける方は当日ご説明しています(ただし主治医や検査技師の都合によりすぐにできない場合もありますので、検査前に主治医にご確認下さい)。 |
Q | SASの検査のおおよその料金(3割負担)を教えてください。 |
A | 当センターでは3割負担の方は入院費個室代込みで35,860円です。 |
Q | 問診の点数が19点。暗くなるとすぐ眠くなります(映画を見に行っても)。SAS検査必要ですか? |
A | 眠気だけではSASとは限りません。単なる睡眠不足の方も現代社会では多いです。ただしこれだけではSASも否定はできませんので、もし心配でしたら遠慮なく受診して下さい。 |
Q | CPAPをつける状態の人は他の治療を伴わなければ、ずっと外すことはできないものでしょうか? |
A | 減量など原因治療がすすまなければ、一生使われる方もいます。近視や老眼の方がめがねをしたり、歯のない方が入れ歯をしたりするのと同じです。 |
Q | SASに有効なCPAPは対症療法と考えられますが、侵襲の少ない原因療法はないのでしょうか。 |
A | ダイエットがもっとも侵襲の少ない原因治療です。ただし、肥満を伴わないSASの患者さんについては、現在のところ侵襲の少ない原因治療で有効なものは証明されていません。 |
Q | CPAPをつけてから6ヶ月経ちますが、鼻から空気が時々出てしまい、のどがカラカラとなってしまいます。そのためよく眠れませんので、どう対応したらよろしいですか? |
A | 鼻から空気が漏れるのは、マスクまたはマスクフィッテイングがうまくできていない可能性があります。自分に合ったマスクに変更するか、もう一度主治医やCPAPメーカーの方に正確に装着できているかみてもらうとよいでしょう。 のどがカラカラとなるのは口をあいている可能性があります。口を止める専用テープやチンストラップを試してみるか、加湿器をCPAPに装着すると対応できる場合もあります。主治医とご相談をされるとよいでしょう。 |
Q | CPAPの副作用はどのようなものですか? |
A | あまり重篤な副作用はありません。マスクに関連するものが多く、主なものとしてマスクの不快感、鼻づまり、閉所恐怖症、マスク接触部のアクネ様皮疹、顔面皮膚の紅斑、鼻柱周囲の皮膚潰瘍、鼻痛、耳痛、鼻・口腔の乾燥、目への刺激、腹部膨満感・呑気などがみられることがあります。ごくまれではありますが、誤嚥性肺炎や、CPAP圧が著しく高く設定されている場合には血圧低下、気胸などを併発する可能性も否定はできません。 |
Q | CPAPを使用して3年になります。ここ半年、近くの病院に転院し、CPAPの器材が変わりましたが、腹の張りとガス(おなら)が増え、気分が悪くなり、2時間使用が限界です。どうしたらよいですか? |
A | CPAPも機種により性能が微妙に異なります。主治医と相談して以前使用していた機種へ戻してもらうのがよいと考えます。その病院で以前使用していた機種の取り扱いがなければ、取り扱いのある病院を紹介してもらうとよいでしょう。病院で相談しづらかったら、以前使用していたCPAPメーカーへ問い合わせて、扱っている病院を紹介してもらうとよいでしょう。 |
Q | 側臥位支援枕はどこで購入できますか?価格はいくら位ですか? |
A | 百貨店、インターネット、ショッピングモールなどで購入可能です。定価は25,000円ぐらいです。 |
Q | マウスピースを長期間の使用になると、顎関節にかかる負担はどうでしょうか?メディカルパタカラで口輪筋を強くすると、舌が挙上すると聞いていますが、トレーニングでの改善はどのようにお考えですか? |
A | マウスピースは下顎を前方へ引き出して咽頭の閉塞を解除するものです。顎関節にかかる負担と咽頭が開く効果のバランスで、どれぐらい下顎を前方に引き出すかを患者さんごとに決めます(あまり前方に引き出すと顎関節に負担がかかるのも事実です)。 メディカルパタカラのSASに対する効果のデータを我々はあいにく持ち合わせていません。 |
Q | 夜、マウスピースをして寝ておりますが、どうしても睡眠が浅く、朝から疲れを感じることが多いのですが、他にも原因があるのでしょうか? |
A | SASも重症になりますとマウスピースだけでは無呼吸は治りません。一度マウスピースをつけた状態で簡易検査等を行って、無呼吸がなくなっているか検査することをおすすめします。 |