第7回 公開医療講座Q&A集
「肺がんを早くみつけるためには~外科医が話す肺がん検診のススメ~」
Q | 遺伝は肺がんの原因になりますか? |
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A | 肺がんに関係した特定の遺伝的要因は現在のところ判明していません。 肺がんは、肺の細胞の中の遺伝子が傷つくことで発生します。遺伝子が傷つきやすいかどうかには確かに各人で差がありますが、それはあくまで個人差の問題です。それよりも、遺伝子を傷つけるような物質(発癌物質)に出会ったかどうかという後天的要因の方がずっと重要です。 |
Q | 腫瘍とがんの違いはなんですか? |
A | 腫瘍とは新生物ともいい、"自律的な増殖をするようになった細胞集団"と定義されます。簡単に言うと、勝手に増えるようになってしまった異常な細胞の集まりのことです。このうち、周囲の組織に浸潤したり転移したりして死につながるものが悪性腫瘍です。悪性腫瘍は発生した場所により分類され、癌・肉腫・白血病・悪性リンパ腫などがあります。ちなみに発生した場所にとどまり、比較的ゆっくり大きくなるのが良性腫瘍です。良性腫瘍は、死につながることはほとんどありません。ポリープというのは一般的に良性腫瘍を指します。 |
Q | 前がん病変とはどういう状態ですか? |
A | 前がん病変とは、放っておくと高い確率でがんが発生する病変のことをいいます。"がんの一歩手前"と説明されることも多いようです。近年の医学の進歩により、肺がんにも前がん病変があることがわかってきました。興味がある方のために下に名前をあげておきます。
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Q | 肺がんの初期症状を教えて下さい。 |
A | 早期の肺がんは自覚症状を伴いません。従って早期の肺がんを発見するためには、無症状のうちに発見することがとても大事です。肺がんが進行していき、周囲の臓器に悪影響を及ぼすようになると自覚症状が出現します。注意すべき自覚症状としては、頑固な咳・痰の増加・血の混じった痰・息切れ・声がれ・胸部の痛みなどがあげられます。このような症状が続いたら、すぐに病院を受診することをお勧めします。 |
Q | 肺がんには腫瘍マーカーがありますか? |
A | 腫瘍マーカーとは、がん細胞が産生する物質のことです。血液や尿などを調べて腫瘍マーカーが高ければ、"体の中にがんがある"ということがわかります。た だし注意しなければいけないのは、正常な細胞も少しは腫瘍マーカーを産生しているということです。もともと体質的に腫瘍マーカーが正常よりも高いという方 もいるのです。そのため、時間を追って腫瘍マーカーの変化をみる場合もあります。 各臓器のがんで腫瘍マーカーは異なります。肺がんの腫瘍マーカーには以下のものがあります。
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Q | 腫瘍マーカーで早期発見ができますか? |
A | 早期の肺がんでは腫瘍マーカーはほとんど高くなりません。ですから、腫瘍マーカーだけで肺がん検診を行うのは非常に危険です。検診に使用できるような新しい腫瘍マーカーが、現在いろいろな医療機関で研究されているようです。早く実用化できることを期待しています。 |
Q | 単純CT、造影CT、ヘリカルCTの違いを教えてください。 |
A | CTとは、体を通過させた放射線をコンピュータで解析して、体の断層写真(輪切り写真)を撮影する検査です。造影剤を点滴して行うものを造影CT、使用せずに行うものを単純CTといいます。造影剤を点滴してCTを行うと、血管が白くはっきりと写ります。そのため、病変と血管との関係をみたいときや、病変部に血流がどのくらい豊富かを知りたいときなどには造影CTを行います。ただし造影剤にアレルギーがある方もいるので、危険性がゼロというわけではありません。肺がん検診であれば、造影剤を使用しない単純CTでも十分です。 以前のCTでは、1回の撮影が終わってから台を少し移動させて次の撮影をするという方法を繰り返し行っていました。この方法では、検査にかなりの時間がかかってしまいます。そこで開発されたのがヘリカルCTです。ヘリカルCTでは放射線装置と台を同時に動かして体をらせん状に撮影するため、10秒程度の息止めの間に全ての撮影を行うことができます。 当センターでは16列マルチスライス/ヘリカルCTを導入しています。 詳細は放射線科のページをご覧下さい。 |
Q | 肺がんの早期発見にMRIは有効ですか? |
A | MRIとは、強力な磁石と電磁波を使用して体の断層写真を撮影する検査です。放射線を使用しないため、被ばくの心配はありません。ただし、ペースメーカーなどの器械や金属類が体内に埋め込まれている方は検査ができません。MRIは、脳や脊髄などの中枢神経系などをみるのに特に優れています。MRIでも肺がんをみつけることは可能ですが、早期の肺癌をみつけるにはCTの方が検出力に優れているようです。またMRIはCTよりも1回の検査に時間がかかるため、肺がん検診には不向きだと言えます。 |
Q | 肺がんの早期発見にPET検査は有効ですか? |
A | がん細胞は、正常の細胞と比べて数倍のブドウ糖をエネルギーとして消費します。PETとは、微量な放射線を放出するブドウ糖類似薬を体内に注射して、薬ががん細胞に集まるところを写真に撮る検査です。CTと同様に被ばくがありますが、一度の検査で全身をみることができるという利点があります。肺がんの診断率は90%以上あると報告されていますが、小さながんを診断することは困難です。また、結核などの炎症性疾患でも陽性を示してしまうことがあり、やはり万能とは言えません。 |
Q | 検診での見落としはないのでしょうか? |
A | 胸部レントゲンでの肺がん検診も、日本における研究では有効であるとされています。しかしながら、骨との重なりや横隔膜・心臓の裏など、レントゲン写真ではみることが難しい部位があります。このような部位に肺がんがあると、発見するのは非常に難しいことになります。医師の中には、"レントゲンでは肺の70%しかみることができない"という先生もいるほどです。胸部CTでは全ての肺をみることが可能で、数ミリの小さな病変まで発見することが可能です。どちらの検査も慣れた医師と慣れていない医師とでは診断に差が出てしまいます。当センターでは、専門の医師が幾人かで写真をチェックしており、見落としがないように細心の注意を払っています。 |
Q | タバコの本数を減らすと肺がんのリスクは下がりますか? |
A | 毎日タバコを吸っている人が肺がんで死亡する率は、タバコを吸わない人の約5倍です。吸っている年数が長ければ長いほど、また1日の本数が多ければ多いほど、この肺がん死亡の危険度は増加します。1日に1箱のタバコを吸う人の肺がん死亡危険度は、吸わない人の約4倍。1日に3箱のタバコを吸う人の肺がん死亡危険度は、吸わない人の約15倍です。つまり、タバコの本数を減らせば肺がん死亡のリスクを減らせることになります。タバコは肺がんだけでなく、肺気腫・気管支喘息などの肺疾患、狭心症などの心臓病、脳卒中などの脳血管障害の原因にもなります。歯周病や妊娠へ悪影響を及ぼすことも分かっています。また、有害物質は吸う煙(呼出煙)よりも、くゆらす煙(副流煙)に多く含まれているため、喫煙すると周囲の人々の健康にも悪影響を及ぼします。是非禁煙されることをお勧めします。 ※当センターでは保険診療による禁煙外来を開設しています。 |
Q | 禁煙して5年になりますが肺がん検診を受けたほうがよいですか? |
A | いつ禁煙しても肺がんになる危険性を減らすことができますが、禁煙年齢が若いほど減少効果が大きくなります。10年間禁煙すると、肺癌の危険性がやっと半分に減ります。禁煙は大事なことですが、一度タバコを吸ってしまった害を改善するには時間を要します。喫煙歴にもよりますが、肺がん検診をうけることをお勧めします。 |
Q | CTで肺がんかどうかの診断がつくのですか? |
A | レントゲン写真もCTも肺にある腫瘤(しこり)の影をみているだけなので、100%の診断にはなりません。診断をつけるためには、その腫瘤から細胞を採取して顕微鏡で調べなければなりません。これを病理検査といいます。病理検査で悪性細胞がみつかれば、"肺がん"という診断がつきます。細胞を採取する方法としては、(1)喀痰細胞診、(2)気管支鏡検査、(3)経皮的針生検があります。(1)は、痰をとって中にある細胞を調べる検査です。簡単に行える検査ですが、大きながんや中心に近い気管支から発生したがんしか診断できません。(2)は、口から気管支に内視鏡を入れて、そこから細いはりがね(鉗子)を使って肺の細胞を採取する検査です。胃や大腸の内視鏡検査のように直に病変をみることができず、レントゲンで病変を確認しながら行うため、診断率は70%程度です。(3)は皮膚から細い針を刺して、肺の細胞を採取する検査です。診断率は90%以上と高いですが、気胸(肺がつぶれてしまうこと)になって治療を要することがあります。また、どうしても診断がつかない場合は、手術で腫瘤を切除して病理検査で診断をつけることがあります。 |
Q | 肺に小さな影があり、経過をみているのですが大丈夫でしょうか? |
A | CTは肺の影をみているだけなので100%の診断ではありませんが、慣れている人が見れば、おおよその診断がつきます。しかし、小さな影は診断が難しく、経過をみる場合があります。もしその影ががんであれば、だんだん大きくなるので、経過をみればがんかどうかの診断がつきます。この場合大切なことは、きちんと定期的に検査をすることです。検査を怠ってしまうと、がんが大きくなったのを見逃してしまう恐れがあるからです。 |
Q | 大きさがどれ位になったら手術したらよいでしょうか? |
A | 小さな影は診断が難しいのですが、1cmに満たない影でもその性状によっては、肺がんが疑わしいことがあります。当センターでは、小さな影でも肺がんが疑われる場合には積極的に診断をつけるようにしています。ご要望があれば、フィルムを持参のうえ当センターへ受診していただければご相談にのります。 |
Q | 統計的に5年生存率が使われるのはなぜですか? |
A | がんなどの治療効果を比較検討するには、何らかの目安が必要になります。一般的には5年生存率といって、治療開始から5年後に生存している人の割合が治療判定の目安として使われています。これは、ほとんどのがんは3年以内の再発が多く、5年以上の再発がまれであるためです。なおりやすいがんでは、10年生存率が使われることがありますし、なおりにくいがんでは3年生存率とか1年生存率が使われます。 |
Q | 5年生存率が高くても、病気がなおったとは言えない気がします。 |
A | 治療から5年後に生存している場合でも、がんの治療をまだ続行中である場合もあり、全てが"がんがなおった人"ではありません。5年生存率は、あくまで"最も一般的に使用されている目安"ということです。 |
Q | 生存率とは患者の死因をがんに限定したものですか? |
A | 通常は、がんまたはがんに関連した病気で死亡した場合を"がん死"として扱っています。全く関係のない病気で死亡した場合は、"がん死"とせずに生存率を算出することが多いようです。 |
「IVR~放射線科医による低侵襲治療への挑戦~」
Q | 高齢者など体力がない人以外の普通の人がIVRを希望した場合、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。 |
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A | IVRにも、様々な種類があるため、一般論としてお答えします。 IVRは、低侵襲、低コストを特徴とする治療法であり、これがメリットといえます。そして低侵襲治療であるというメリットは、高齢者や体力のない方だけで なく若い方にも共通です。たとえば、高齢という理由ではなく、症状が軽すぎるため外科手術による侵襲度を考慮すると手術適応外という方でも、IVRなら治 療できる場合があります。 メリットがデメリットを上回ると判断される場合のみ、治療行為を含む医療行為が行われますが、IVRのデメリットとして治療成績が不明瞭ということのほ か、低侵襲の限界も挙げられます。最近、大学病院等では通常の手術に耐えられない患者へのIVRが増加し、それに伴う麻酔依頼が多くなったと聞きます。こ のことは従来外科手術では侵襲度が高過ぎるため治療を断念されていた患者が、麻酔という次の段階まで進むことにより、その危険性が際だってしまうことを意 味します。つまり、メリットを多く得られる高齢者や体力のない方は、同時にデメリットも普通の人よりは大きくなりやすいのです。 一方、ご質問にあるように普通の大人の方がIVRを受けられた場合、メリットもすこし少ないかもしれませんが、デメリットも少ないと考えていただいて問題 はありません。ただし、成長を考慮しなければならない子供や、一部治療法に例外があります。その点は個々にご相談ください。 |
Q | 再発肺がん、手術不可能と言われ、現在抗がん剤治療中。今からでもIVRによる治療効果はありますか。 |
A | ご質問の「IVR」はラジオ波焼灼による治療を想定していると思いますのでこれについてお答えします。 状況にもよりますが、治療効果はあると思いますし、可能と思われます。ご希望がございましたら、紹介状とCT 画像をご持参の上御相談ください。以下にもう少し詳しく記載させていただきます。 再発肺癌の数、場所等が大切な要素になります。多すぎる再発腫瘤、肺門や縦隔リンパ節など体の深部にある再発腫瘤、大きすぎる再発腫瘤は治療できないことが多いとお考えください。しかし、疼痛等の症状がある場合は、たとえ再発腫瘍全体を焼灼出来なくても鎮痛効果もあります。また、化学療法や放射線治療との組合せで行う場合は各々の治療法に役割分担することで、効果を期待できるのではないかと考えています。 |
Q | 肺がん、転移性乳がんの肺転移など病期・部位による制約はありますか。保険外ということですが、先進医療の適用はあるのでしょうか。 |
A | このご質問もラジオ波焼灼による治療を想定しているものと思いますので、これについてお答えします。 ラジオ波焼灼による治療法にも病期、部位などの制約は有ります。とくに、腫瘍の数、場所等が大切な要素になります。多すぎる再発腫瘤、肺門や縦隔リンパ節など体の深部にある再発腫瘤、大きすぎる再発腫瘤は治療できないことが多いとお考えください。しかし、疼痛等の症状がある場合は、たとえ腫瘍全体を焼灼出来なくても鎮痛効果を期待できます。 また、治療対象臓器は、肺のみならず、肝や骨、乳房なども含まれています。 肝腫瘍に対するラジオ波焼灼については保険適応になっておりますが、その他の臓器については現在のところ保険適応にはなっておりません。 また、現在当センターでは先進医療の実施の承認を受けていません。骨について群馬大学が、肺と腎について岡山大学がそれぞれ先進医療の承認を受けています。当センターも今後先進医療実施を届出るべく努力して参ります。 |
Q | 現在他院で治療中ですが、そちらに紹介してもらえるでしょうか。 |
A | ご希望がございましたら、紹介状とCT 画像をご持参の上御相談ください。水曜日午前(10時から)がIVR外来となっております。 なお、紹介状など持参いただけない場合でも御相談に来院されても何も問題はございません。ただし、当センターで改めて検査することになるなど多少費用がかかってしまう場合があります。その点ご了承ください。 |
Q | ラジオ波焼灼の1回の費用はどれくらいですか。 |
A | 現在は、ラジオ波焼灼そのものの費用は頂いていません。 1-3週間の入院並びに、抗生剤等の治療費用、CTや血液検査等費用となります。入院期間が症例ごとに様々となっているため、あまり参考にはならないようですが、肺炎による入院と内容的には変わりないと思います。 |
Q | 周波数と治療時間を教えてください。 |
A | 一般的に周波数は、460 kHz 或いは 480 kHz が用いられます。当センターでは 460 kHz を使用しています。 治療時間は1カ所2時間弱ぐらいですが、2カ所以上を同時に治療することはあります。 |
Q | 左右の腕で計測した血圧に差がある場合、どのような異常、病変が考えられますか。また血圧差はどの程度ならば許容値ですか。 |
A | 左右どちらかの「鎖骨下動脈」という比較的大動脈に近いところで狭窄又は閉塞があることが多いようです。左右差が20 mmHg 以上有れば異常と考えて差し支え有りません。 病変を確認する方法としては、MRA や CTA が望ましいと思います。それぞれ、MRI、CT といった体内の写真を撮る装置で血管の状態を描出する技術です。既に御相談されているかかりつけ医の先生がおられましたら、検査は当センターでもお受けできますので、かかりつけ医の先生に御相談ください。なお、検査予約の取り方でご不明なことが有りましたら、当センター地域連携室や放射線科までお問い合わせください。かかりつけ医の先生がおられず、当センター受診希望の際は循環器内科(平日午前)、心臓血管外科(水、金)各々の外来、IVR外来(水曜午前) いずれでも結構です。 |
Q | 血管をバルーンで広げた後、血管に異常はないのでしょうか。 |
A | なかなか難しい質問です。 無理に広げれば、血管壁に小さな亀裂は入っていると考えるのが無難です。その意味において異常は残るわけですが、近い将来にその患者さんのご負担にならないと判断して手技を終わりにしています。医学的問題となる異常は無いと解釈いただければと思います。 |
Q | ステントの端部が血管に影響を与えることはないのでしょうか。 |
A | ステントの種類や疾患にもよりますが、ステントが挿入時のみならず、留置後体内において血管を損傷する可能性はあります。論文等で報告もされています。 ステント挿入時の径の選択、材質の選択等を適切に行えばこれらのリスクはかなり軽減されます。また、大動脈解離等では発症時期との兼ね合いもあります。血管修復のために行う血管内 IVR に際しては、かえって血管を損傷してしまうことのないように細心の注意を払っています。 |
Q | 大動脈解離がある大動脈にステントグラフト挿入はできますか。(胸部解離性大動脈瘤) |
A | 一般的には挿入できます。 解離範囲、大動脈径などが可否の決定要因となります。また、施行時期については発症時期が大切な決定因子となります。 |
Q | ステントグラフトの金属は何ですか?(白金、チタン、ステンレス・・・) |
A | ステントグラフトはステントとグラフト(人工血管)を合わせて呼ぶ名称です。ステント部分と、グラフト部分とこの二つの結合部分に分けられます。 ステント部分はステンレス(鉄とクロムの合金)やナイチノール(ニッケルとチタンの合金)のどちらかで出来ていることがほとんどです。 グラフト部分の素材は、ポリエステル、ポリテトラフッ化エチレン(商品名テフロン)などが基本となります。さらに、コーティングなどの処理がされている場合もあります。 接合部は、ステントごとグラフトに編み込まれて一体化したものやナイロンの糸で縫い合わされたものなどがあります。 |
Q | ステントは長期にわたって入れておいても傷害はありませんか。 |
A | ステントを入れた臓器や部位、原因となる疾患、患者さんの年齢、活動性にもよりますが、適所に用いられた場合、ステントそのものの問題はほとんどありません。 ただし、「浅大腿動脈」という大腿部から足先まで栄養する動脈のIVR(血管形成術)などで用いた場合は、ステントの破損などの報告も多く、部位によっては慎重に用いるべきと考えています。しかし、破損が直ちに血管の障害につながるわけではありません。 一方、骨盤内に「腸骨動脈」というものがあります。これは前述の浅大腿動脈よりも上流の動脈ですが、この動脈のIVR においてはほとんどの症例でステントを留置しています。 このように、必要に応じてステントを留置しているのが現状です。 |
Q | IVRで治療後の静脈瘤のこぶはどうなるのですか。血液が組織に溶け込んでいくのですか。 |
A | 瘤に対する IVR には幾つか種類があります。それぞれの治療において瘤のその後の変化は異なりますが、基本的には瘤を破裂させない、血栓をはがれ落ちるのを予防する、スムーズに血液を流す等の治療効果を期待して行います。 したがって、治療された瘤自体はそのまま残ることもありますし、小さくなって消失することもあります。これらの場合は問題有りません。 大きくなる場合もありますが、この場合は治療がうまくいっていない場合がほとんどです。 |
Q | 通院による放射線ピンポイント治療が有効と効きますが、貴センターではこのような治療は実施していますか。 |
A | 放射線ピンポイント治療は当センターでは行っていません。 現存する当センターの装置では、現実的に行うこともできません。センター内で今後の導入について、検討に入ってはいますが、最も高価な医療機器であり、今しばらく皆様のご期待にお応えすることはできません。 しかし、当センターには放射線治療を専門とする放射線腫瘍学会認定医が常勤医として勤務しています。放射線治療の専門医は全国的にも数が少なく、放射線治療の機器があっても、常勤医はいない施設が多いのが現状です。放射線科外来(月、火、木の午後)を受診していただければ、病状、ご希望にあわせて専門医が御相談をお受けします。ぜひご活用ください。また、当センターでは肺癌などの呼吸器疾患のみならず、乳癌などの放射線治療も行っています。 |