
心臓血管外科のご案内
2022年度の心臓血管外科は、火、金の非常勤医師による外来のみの対応となっております。
手術の適応の有無は循環器内科で判断はしますので、心雑音等の診断であれば従来どおり、循環器内科で対応します。次年度以降は再開を視野にいれていますので、本年度は申し訳ありませんがご理解よろしくお願いいたします。今年度は静脈瘤の手術には対応しておりません。
豊富な経験を持つ心臓血管外科医と循環器内科医との協力、協議により、ハートチームとして循環器疾患に対する質の高い診断・治療を皆様に提供できるように努めておりますので、よろしくお願い致します。
心臓血管外科では心臓と血管(頭頸部を除く動脈・静脈)の病気に対して手術あるいは血管内治療を行っています。 対象となる病気は後天性心疾患(虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、心膜炎、心臓腫瘍など)、成人先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損、冠状動静脈瘻、冠状動脈起始異常など)、大動脈疾患(大動脈基部疾患、胸部や腹部大動脈瘤、大動脈解離など)、末梢動脈疾患(頭頸部を除く動脈閉塞、動脈瘤など)、静脈疾患(下肢静脈瘤など)です。
近年の心臓血管外科では疾患によっては自己組織の温存・利用、低侵襲手術が行われています。自己弁温存・弁形成術、心拍動下手術、オープンステントグラフトの併用、ステントグラフト内挿術、レーザー焼灼術などがあり適応を検討し選択いたします。
例年、心臓大血管手術40~70例、末梢血管などの手術30~45例を行っています。緊急手術にも対応しています。外来診療は水曜日と金曜日に行っています。
心臓弁膜症において慢性心房細動を持つ患者さんや機械弁による人工弁置換術を受けた患者さんでは、生涯にわたるワーファリン内服を必要とします。当センターでは心房細動出現前の至適時期に弁膜症手術を行うように心掛け、積極的に可能な限り弁形成術(特に僧帽弁形成術、三尖弁形成術)を行うこと、心房細動を合併した場合でも発作性、持続性心房細動には積極的に不整脈手術、左心耳閉鎖術の併用を行う治療方針により、ワーファリンを必要としない術後生活を目指します。但し、ご年齢や長期に慢性化した心房細動の合併の有無によっては生体弁の使用や抗凝固療法を行います。
心拍動下(人工心肺を用いない)冠状動脈バイパス術、オープンステントグラフトを併用した弓部大動脈手術、小切開による腹部大動脈手術、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術、末梢動脈疾患に対する血管内カテーテル治療、下肢静脈瘤に対するレーザー治療などをそれぞれの疾患の解剖学的適応や全身の動脈硬化の評価などを踏まえ積極的に行っています。
アメリカでは心臓手術後4~5日で患者さんが退院する心臓病センターもあります。従来の日本の病院との大きな違いは手術後の心臓リハビリテーション体制の成熟度の違いです。平成22年春より当センターでは心臓リハビリテーションの体制が強化されました。これによりこれまでにない心臓手術後の優れた心臓リハビリテーションが可能となり、このことが患者さんの早期退院につながります。さらに入院中だけでなく、退院後も外来での心臓リハビリテーションの継続が可能ですので退院した後も多くの患者さんに喜んでいただいております。
当センターでは心臓血管外科の歴史が長く、外来で多くの心臓手術後患者さんをフォローアップしていますが、手術後長い時間を経ますと、手術部位や時には別の部位に異常を来たし、心臓再手術を必要とする患者さんがおります。高齢化に伴い今後も増加が予想される心臓再手術は、胸骨再切開時の心臓や大血管からの出血、強固な癒着部位の剥離や前回手術部位再建の困難さなどのために、初回心臓手術に比べより豊富な技術と経験が必要とされます。当センターでは、これまでの経験をもとに心臓再手術をより確実により安全に行うためのコツと技術を駆使し、より良い手術成績を目指します。
良い手術をしても術後の感染症が起これば命に関わる可能性が生じます。当院の心臓大血管手術はすべてバイオクリーンルーム(国際基準で最も清潔度の高い手術室)で行っています。一般的にある程度の確率で起こると言われている心臓血管手術後の縦隔洞炎や人工物感染(人工弁や人工血管などの感染)などの重症感染症が稀(1%未満)であったことは、極めて清潔度の高い環境で手術を行っているお陰であると思います。