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アスベスト関連疾患

アスベスト関連疾患とは?

 アスベスト関連疾患とは、アスベスト(石綿)の吸入により発症する呼吸器疾患のことです。
 アスベストに関連する呼吸器疾患の多くは、長期の経過で緩除に進行することが多いようです。現在問題となっている悪性胸膜中皮腫、肺がんの他、塵肺の一種である石綿肺等の呼吸不全を呈する疾患もあり、代表的なアスベスト関連呼吸器疾患についての解説を以下に列挙します。

アスベスト関連の主な呼吸器疾患
  1. 悪性胸膜中皮腫
     主にアスベストの吸入により、肺の表面を覆う胸膜が20年から30年以上の長期の経過を経て腫瘍化し、胸水の貯留や転移を伴う悪性腫瘍です。胸膜に生じる「がん」と考えて差し支えありません。
     多くは胸水が溜まることによる呼吸困難、胸部圧迫感や、胸膜や骨、神経への浸潤に伴う痛み、しびれなどがきっかけとなって発見されますが、診断が難しいケースが多いのが実情です。
     治療は胸水を除去後に、胸水の再貯留を防ぐ為の癒着療法や、抗がん剤による全身化学療法を実施する場合があります。病変がごく一部に限局している場合、手術により外科的に摘出することもあります。全身状態の不良な場合は緩和療法のみを実施することもあります。
  2. 肺がん
     アスベストの吸入が特殊なタイプの肺がんを発生させることはありませんが、肺がんの発症率を高めることが知られています。治療は通常のタイプの肺がんに準じて行いますが、問題点としては、後述する石綿肺や慢性呼吸不全を合併している場合が多いことが挙げられます。
  3. 石綿肺
     吸入したアスベスト(石綿)の粉塵が、肺の内部で沈着し特殊な反応が起こり、長期の経過を経て肺がもろくなり柔軟性を失っていく繊維化という現象により、肺の機能が除々に低下していく病態を総称して石綿肺と呼んでいます。
     病状は間質性肺炎に類似しており、初期には息切れが出現、進行し、時にせき、たんを伴いながら除々に呼吸不全が進行していきます。病状が進行し酸素を充分に取り込めなくなった場合は、在宅酸素療法を実施する場合もあります。アスベストの吸入を避けても、長年の経過を経て病変が不可逆的に形成、進行し、肺炎、気胸の合併による呼吸状態の悪化、また肺がんの合併もしばしば見られます。
  4. その他
     胸膜の肥厚と胸水の貯留を伴いますが、悪性の所見が諸検査で発見されない良性アスベスト胸水、広範囲に胸膜の肥厚が見られるが悪性の所見が見られないびまん性胸膜肥厚、限局した範囲の胸膜の肥厚である胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)がアスベスト吸入に関連する良性病変として知られていますが、経過観察中に悪性化が認められることもあります。
アスベスト吸入に関しての対応

 列挙した呼吸器疾患はいずれもアスベストを長期に持続性に吸入した場合に発症する確率が高くなりますが、発症には個人差や喫煙歴も関連しているとされ、同じ条件ですべての人が発症するわけではありません。また列挙した疾患がすべてアスベストのみで発症するわけではなく、他の要因や原因不明で突然発症することもあるのは他の病気と何ら変わりはありません。
 これらの疾患についてご心配な場合は、まずご自分の生活環境、職場環境や、居住地域の環境についての正確な情報を公的機関や勤務先、業界団体等を通じて入手し、その上で対応を検討されるのがよいでしょう。
 当センターは、「石綿業務」「粉じん業務」にかかる健康管理手帳所持者を対象とした健診を実施する指定医療機関です。呼吸器疾患の専門病院として、アスベスト専門外来を設置するとともに、アスベスト専門検診やアスベスト小体計測検査などを実施し、アスベストに起因する中皮腫等の疾病の治療などアスベスト疾患対策に取り組んでいます。自覚症状はないがアスベスト関連疾患にかかっていないか心配な方は、アスベスト専門検診を受診ください。

 診療実績は、呼吸器内科をご覧ください。

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