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肺がん

肺がんlungcancer

肺がん

肺がんとは?

肺がんとは、肺から発生するがんの総称で、肺を構成する肺胞や末梢気道から発生するもの、気管支から発生するものがあります。
肺がんは1998年から悪性腫瘍死の第1位で年々増加してきており、2022年の年間死亡者数は7万6千人を超えています。

原因

肺がんの発生する原因は完全には分かっていません。喫煙、大気汚染、アスベストやクロム等の職業曝露、放射線等が発がん因子であることは判明していますし、いくつかの発がん遺伝子も同定されています。全ての肺がんの原因が説明できるわけではありませんが、少なくとも喫煙は止めるのが良識でしょう。

分類

  • 発生部位による分類
    末梢型(肺の末梢)と中枢型(気管に近い気管支)に分けられます。末梢型は、早期は無症状で、中枢型は、早くから咳や血痰等の症状が出るのが特徴です。
  • 組織型による分類
    がん細胞やその集団の形の違いにより、大きく「小細胞がん」と「非小細胞がん」に分けることができ、非小細胞がんは、さらに「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」などに分けられます。
    腺がんがもっとも多く、次いで扁平上皮がんが多く見られます。腺がんはほとんどが末梢型ですが、扁平上皮がんは中枢型と末梢型があります。

症状・経過

末梢型は、早期では無症状であることが多く、進行すると周囲に肺炎を引き起こし、胸痛や肩痛、発熱、咳嗽が出現します。
中枢型は、早期より著明な咳嗽や血痰がみられ、進行すると発生部位よりも末梢の気道が閉塞し無気肺や肺炎となり、胸部単純写真でも無気肺像や肺炎像が出現します。
どちらも、脳、骨、肝臓等に遠隔転移を起こせば、それぞれの部位によって特有の症状が出現します。

診断

肺がんは、組織のタイプ(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がん等)、がん細胞がもった遺伝子変異の状況(EGFR、ALKなど)、病気の広がり(病期・ステージ)、患者さんの元気さ、合併する病気等によって治療方針が異なります。技術と知識をいかして気管支鏡検査・CT・CTガイド下生検・MRI・骨シンチグラム(※1)といった検査を行い、確実な診断を心がけています。
受診当初は、不安を抱えながら種々の検査を受けていただくことになりますので、心身の負担が大きいかと思いますが、個別の治療のためには正確な検査結果が必要となりますので、ひとつずつ進めていきましょう。

※1 骨シンチグラム(核医学検査)
画像診断法の一つで、体内に投与した放射性同位元素から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したものです。

病期

がん細胞の広がり具合で病気の進行をI~IV期の病期に分類します。I~III期は、さらにその病期の中で軽いものをA、重いものをBともう一段階細分化します。

I期 がんが肺の中にとどまっており、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階。
II期 原発巣のがんは肺内にとどまっており、同側の肺門リンパ節には転移を認めるが、他の臓器には転移を認めない段階。
III期 原発巣のがんが肺を越えて隣接臓器に浸潤しているか、縦隔リンパ節に転移を認めるが、他の臓器には転移を認めない段階。両方あってもIII期です。
IV期 原発巣の他に、脳、肝臓、骨、副腎などの臓器に転移(遠隔転移)がある場合。

治療

肺がんの治療方法には、主に、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法があります。

小細胞がん 非小細胞がん
  • 化学療法(抗がん剤治療)が中心
  • I期の症例に手術が行われるが、その場合でもたいてい化学療法が追加される。
  • 進行度によっては化学療法と放射線照射の同時併用が行われることもある。
  • I期とII期は通常手術
  • IIIA期とIIIB期は一部が手術の適応
  • IV期は手術は行われないのが通常

内科的治療

小細胞がんでは、限局型(放射線治療の可能なもの)と進展型により標準療法が異なります。限局型は放射線と化学療法(プラチナ製剤、エトポシド)の併用療法が行われます。進展型はプラチナ製剤に加えてエトポシド又はイリノテカンを併用します。
非小細胞がんでは、TNM分類という病期分類により、治療法が選択されます。内科で治療する患者さんは、切除が不能なIIIA期・IIIB期の方は、化学療法と放射線療法の同時併用が行われ、IV期の方は主に化学療法になります。プラチナ製剤と抗がん剤の併用療法が生存期間を延長する成績を得られていましたが、近年ではさらに免疫療法や分子標的薬(EGFR阻害剤やALK阻害剤など)といった新薬の登場と臨床データの蓄積により、組織型と遺伝子変異の有無により治療法が選択されるようになりました。

外科的治療

肺がん手術の成績は、5年生存率(5年経って何パーセントの人が生存しているか)で評価され、一般に、IA期74.8~91.6%、IB期71.5%、IIA期60.2%、IIB期58.1%、IIIA期50.6%、IIIB期40.5%、IIIC期37.5%、IV期36.0%程度であると言われています。(2010年全国肺がん統計)
当センターでは、患者さんの体への負担がより少ない胸腔鏡下手術に力を入れており、原発性肺がんに対する胸腔鏡下肺葉切除を100例以上施行しています。

早期発見・迅速治療

当センターでは、専門医療機関として多くの肺がん患者さんの診断・治療を行っています。
肺がんを治す可能性を高めるには、早期発見、早期治療が重要であることから、マルチスライスCTを用いた肺がん専門検診を実施しています。

また、迅速な診断と治療のため、各診療科、病理検査、放射線、薬剤、看護等の関連部門が部門の枠を越えて力を結集し、組織的なチーム医療で肺がん患者さんにとって最適な医療を提供できるよう、2013年より「肺がん包括診療センター」を開設しています。

肺がん包括診療センター

呼吸器内科

呼吸器外科