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虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

虚血性心疾患とは?

 心臓の筋肉(=心筋)に血液を送る冠状動脈が狭くなったり(狭窄)、塞がったり(閉塞)して、心筋への血液の流れが悪くなり、心筋が酸素不足に陥る状態を虚血性心疾患と呼びます。

原因

 多くの場合、動脈硬化が原因ですが、冠状動脈が異常に収縮(攣縮)することによっても起こります。動脈硬化による場合は労作時に起こることが多く、攣縮による場合は安静時に起こり、喫煙によって誘発されることがあります。
 高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、心臓病の家族歴などの危険因子を持っていると、急性心筋梗塞や狭心症になりやすい傾向があります。

動脈硬化の進み方

分類・症状

 (1)労作性狭心症

 心臓の筋肉に栄養や酸素を送る冠状動脈の壁にコレステロールが溜まる(動脈硬化)ことで血管が狭くなり(狭窄)、心臓の筋肉が酸素不足に陥る病気です。

 《自覚症状》

 出勤で駅まで歩く途中、犬の散歩やお買い物の途中で、胸が圧迫される、締め付けられる、または喉から顎にかけて締め付けられる、といった症状ですが、立ち止まると数分でよくなってきます。症状が15分以上持続することはありません。これが、労作性狭心症の典型的な自覚症状です。
 時に、これらの症状が、左肩に広がったり、左腕が同時にしびれたりすることもあります。重度の狭心症でも症状がでない方もいます。
 これらの症状が、今までよりも軽い動作で自覚される、または静かにしている時にも自覚される、ということがあったら、即ち、"今までとは違う"、と感じたら、すぐに医師に相談してください。動脈硬化で細くなっている冠状動脈が破れて、血の塊(血栓)で血管が詰まる可能性があるからです。この状態を不安定狭心症といい、悪くすると、心臓の一部が死んでしまう(壊死)急性心筋梗塞になります。

 (2)冠攣縮性(れんしゅく)性狭心症

 労作性の狭心症とは異なり、冠状動脈が痙攣(けいれん)を起こすことで血管が細くなり、心臓の筋肉が酸素不足になるのを冠攣縮性狭心症といいます。

 《症状》

 深夜や早朝の安静時、あるいは就寝時に胸痛が起こり、数分で収まるのが、冠攣縮性狭心症の典型的な症状です。冠動脈造影上、冠状動脈が、明らかに狭くなっている(狭窄)場合と、狭窄の認められない場合とがあります。

 (3)無症候性心筋虚血

 冠状動脈が明らかに狭くなっていて(冠状動脈造影で確認)、運動負荷試験でいるにも心電図に変化が出ているにもかかわらず、自覚症状のないことがあります。症状がないから軽症であるということではなく、治療の必要性は、症状のある狭心症と同じです。

 (4)心筋梗塞

 心筋梗塞とは、冠状動脈が血液の塊(血栓)で完全に詰まってしまい、心臓の筋肉に酸素と栄養がいかなくなり、心筋の一部が壊死してしまう病気です。

 《症状》

 典型的な症状は、労作性狭心症の症状よりも更に強くて、更に症状の持続時間が長くなります。数時間に及ぶことがありますが、心筋梗塞が完成されると、症状はなくなります。即ち、このことは心筋梗塞が治ったのではなく、心臓の一部が完全に死んでしまったことを意味します。
 胸の症状ばかりでなく、背中、首、顎、肩が締め付けられるような感覚、腕のしびれ感、吐き気を訴える方もいます。糖尿病患者さん、高齢者の方では強い痛みを訴えないこともあります。
 その他の症状として、呼吸困難、動悸、不整脈、意識消失を起こすこともあります。
 危険な不整脈により突然死することもあるので、このような症状を自覚したら、即、専門施設を受診すべきです。また、急性心筋梗塞と診断されたら、専門医による早急な検査と治療が必要です。

心筋梗塞

治療

 薬物治療、冠動脈形成術(冠動脈インターベンション)、外科手術(冠動脈バイパス術)があります。当センターでは治療の選択は、患者さんとご家族に実際の冠状動脈造影を見て頂き、患者さんの病態に応じた最適の治療法を選ぶようにしています。最近は、冠状動脈の狭窄、または閉塞が確認されますと、心臓の筋肉にできるだけ早く血液を流す(再還流)ために、冠動脈形成術(PCI)が行われる傾向があります。
 高い技術を要する慢性完全閉塞の病変に対しても高い成功率でPCIを行っています。

 (1)経皮的冠動脈形成術(冠動脈インターベンション、PCIともいいます)

 当センターで施行している経皮的冠動脈形成術には、次の4つの方法があります。

  1. 風船(バルーン)療法
     先端に風船のついた管(カテーテル)を、X線透視下で動脈硬化により狭くなっている場所(狭窄部)まで進め、そこで数回、風船を拡張し、狭窄部位を拡張する方法。風船の上に小さな金属の刃が付いていて、風船を拡張した時に、この刃で狭窄部に傷を付けて拡張しやすくする方法もあります。
  2. ステント療法
     ステントという金属の網の管(素材は主にステンレス)を、①に述べた風船にかぶせて、その管をX線透視下で冠状動脈の狭くなっている場所(狭窄部)に進めます。風船を拡張すると、その上のステントも拡張するので、ステントのみ留置することで狭窄部が広がる方法。
    ステント ステント
    直径2.5~4.0 mm
    長さ8~32 mm
    ステント療法1 ステント療法2
  3. 薬剤溶出性ステント
     薬剤コーティングステントを使用する方法。平成16年8月から薬剤コーティングステント(Drug Eluting Stent;DES)という、従来のステントに特殊な薬を塗った道具が使用可能となり、当センターでは再狭窄率を10%に低下させることができています。現在主流の治療法です。
  4. ロータブレーター治療
     工業用ダイアモンドの微粒子を管の先端にコーティングし、この管を、狭窄部で14万から20万/分で回転させて、狭窄部を粉砕し削除する方法。石灰化して硬くなった狭窄部の治療に用います。

 診療実績は、循環器内科をご覧ください。

 (2)冠状動脈バイパス手術

 従来、虚血性心疾患の手術は冠状動脈バイパス術が多く行われていましたが、近年、経皮的冠動脈形成術(冠動脈インターベンション)の進歩により多枝病変でも積極的な内科的治療がなされるようになっています。しかし内科的血管内治療が不可能な重症冠動脈病変が外科的な冠動脈バイパス手術の対象となります。
 冠動脈バイパス手術には人工心肺下に心筋保護液を使用し心臓を停止させた状態で行うオンポンプ冠動脈バイパス手術と、心臓を停止させずに動いている状態(心拍動下)で行うオフポンプ冠動脈バイパス手術があります。オンポンプとオフポンプでは、各々利点と欠点とがありますので、各々の症例で心臓の状態、冠状動脈の状態をよく検討し、また、どちらの方法を選択するか、患者さんとご家族とともに検討したうえで患者さんにとって最も適した手術を行っています。

 診療実績は、心臓血管外科をご覧ください。

オフポンプ冠動脈バイパス手術 オフポンプ冠動脈バイパス手術
拍動している状態で心臓を専用の機器を使って安定させて、冠動脈へのバイパス術を行ないます。

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