「非小細胞肺癌(案件番号KCRC-21-0031)」(呼吸器内科)
臨床研究の名称 | EGFR 遺伝子L858R 変異陽性進行再発非扁平上皮非小細胞肺癌におけるTP53遺伝子変異の意義および治療耐性メカニズムの検討 (WJOG14420LTR) |
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研究責任者の所属・氏名 | 呼吸器内科 医長 池田 慧 |
研究の概要 | 【目的】 WJOG14420L「EGFR 遺伝子L858R 変異陽性進行再発非扁平上皮非小細胞肺がんに対するエルロチニブ+ラムシルマブとオシメルチニブを比較する第III相臨床試験」に参加いただいた方において、エルロチニブ+ラムシルマブ療法およびオシメルチニブの有効性や、治療耐性を獲得してしまうメカニズムを検討することを目的とした研究です。 【対象患者】 EGFR L858R変異陽性の進行再発非扁平上皮非小細胞肺癌と診断され、WJOG14420L試験に参加いただいた患者様のうち、がん組織・血液検体の採取・保管に同意いただいた方 【方法】 治療開始前と、病勢増悪時の2つのタイミングで血液検体と組織検体を採取します。またB群(エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法)に割り当てられた患者さんについては、再生検でT790M変異が陽性となり、試験治療として引き続きオシメルチニブの投与が行われた場合は、オシメルチニブの病勢増悪時の組織検体・血液検体を採取させていただきます。ご提供頂いた検体は、試験治療の治療効果や耐性化(薬剤の効果が無い、もしくは効果がはじめはあったが途中でなくなること)に関連する可能性がある遺伝子・蛋白の測定に用いられます。これらには遺伝子の変異の種類、遺伝子の量、血液中のたんぱく質の解析が予定されており、提供頂いた検体の量や種類に応じて実施可能な検査を選択します。この研究では、TP53遺伝子を含むがん細胞のさまざまな遺伝子を調べます。遺伝子とは、私達の体をつくるための設計図のようなものです。遺伝子の違いが、顔(目や髪の色など)や体つき(背の高さなど)のような目に見える特徴だけでなく、病気のかかりやすさや薬の効きやすさなど、目に見えない特徴にも影響するといわれています。遺伝子は親から子へと伝わる情報ですので、あなたの遺伝子に何らかの特徴がある場合、あなたのご家族も同様の特徴を有する可能性がありますが、この研究では、がんの細胞に起きている遺伝子の異常を調べますので、親の体質を子に伝える遺伝子(生殖細胞系遺伝子)の異常の有無は確認しません。TP53遺伝子の異常は、オシメルチニブ療法の治療効果に影響を及ぼす可能性が示唆されており、この遺伝子変異がある場合はエルロチニブ+ラムシルマブ併用療法の方がより高い有効性を得られるのではないかと考えています。また、この他にも網羅的に遺伝子の解析を行うことで、オシメルチニブやエルロチニブ+ラムシルマブ療法の有効性がより高い集団や、治療抵抗性の機序の解明につながると考えています。 近畿大学医学部ゲノム生物学教室で測定、解析を行います。 【解析検体について】 治療の効果に関連する可能性のある遺伝子やタンパク質を解析しますが、これらの遺伝子変異やタンパク質は、がん発生や抗がん剤耐性に関わるものであり、患者様やそのご家族の遺伝に関係するものではありません。 【個人情報保護に関する配慮】 個人情報の取り扱いにつきましては、本研究に関係するすべての研究者は、個人情報保護法に基づいて、研究対象者の個人情報を厳重に管理します。個人情報に関しては、本研究のみに使用します。当院に個人識別情報管理者を置き、対象患者様に対して独自のIDをつけ、個人情報は全て匿名化されますので、いかなる個人情報も院外に出ることはありません。ご自身の試料や診療情報が利用されているかも知れないと思われる個々の研究について詳細を知りたい時は、いつでも情報を提供致します。患者さまの個人情報の管理は十分慎重に行い、漏洩することがないように致します。 【使用する試料・情報】 ・使用する試料 日常臨床で採取した腫瘍組織の残余部分 血液(1回21mL、2~3回) ・使用する情報 患者基本情報(患者識別コード、年齢、性別、身長、体重、ECOG performance status(PS)、組織型、喫煙歴(年数、本数)、病期、臨床検査値、EGFR遺伝子変異情報、既往歴、合併症、放射線療法歴、検査を行った検体の採取臓器(肺、肝、リンパ節、胸水、胸膜、その他臓器)、確定診断日、採取方法(気管支鏡検査、EBUS-TBNA検査、経皮針生検、胸腔鏡、胸腔穿刺、外科的針生検))、プロトコール治療内容(レジメン、開始時のECOG PS、WJOG14420L試験登録日・治療開始日、投与サイクル数、最終投与日、PD確認日、治療中止日、治療中止理由(PD、毒性中止、その他の内容)、有害事象、プロトコール治療期間の臨床検査値)、生存情報(死亡日、最終生存確認日、死亡理由)、後治療(後治療の有無、後治療の内容) 【組織の使用にあたって】 過去の通常診療で採取された組織検体を利用させて頂くため、この研究に伴って新たに生じる身体への危険はありません。ただし、過去に採取した組織が小さい場合、この研究での使用によって組織量が更に少なくなったり消失したりする可能性があり、その後の追加検査に支障が生じたり追加検査が出来なくなることが稀にあります。 |
問い合わせ先 ※ | 呼吸器内科 医長 池田 慧 〒236-0051 横浜市金沢区富岡東6-16-1 神奈川県立循環器呼吸器病センター 電話番号 045-701-9581 (代表) 受付時間 平日8:30~17:15 |
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