「肺がん(案件番号KCRC-24-0018)」(呼吸器内科)
臨床研究の名称 | アジアにおける肺癌個別化医療の確立を目指したゲノムスクリーニング研究:Lung Cancer Genomic Screening Project for Individualized Medicine in Asia (LC-SCRUM-Asia) |
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研究責任者の所属・氏名 | 呼吸器内科 医長 関根 朗雅 |
研究の概要 | 【目的】 がんに対する薬物療法の効果は患者さん毎に異なるため、個々のがんの特徴に応じて、それぞれの患者さんにあった薬剤を選択することで、より高い治療効果が期待できるようになります。このように、がんの特徴を調べて患者さん一人ひとりに最適な薬剤を選んで行う医療を個別化医療と言います。がんの特徴の一つとして遺伝子変化があります。がん細胞の中では様々な遺伝子が変化していますが、がんで起こる遺伝子変化は均一ではなく、それぞれのがんで変化する遺伝子は異なります。がんの薬物治療においては、個々の遺伝子変化を標的とする分子標的薬が高い効果を示すことがあります。特に肺がんでは、治療標的となる遺伝子変化が複数見つかっており、EGFR、ALK、ROS1、BRAF、NTRK1-3、MET、RET、KRAS、HER2を標的とする分子標的薬は、臨床試験によって有効であることが証明され、我が国で既に承認されています。その他の遺伝子変化についても、現在、治療薬の開発が進んでおり、今後さらに遺伝子変化に基づく個別化医療が確立されていくと考えられます。数多くの遺伝子のことを総称してゲノムと言うことから、近年では、がんの遺伝子を数多く解析し、その結果に基づいて個別化医療を行うことをゲノム医療とも呼びます。 このように、肺がんでは遺伝子変化に基づく個別化医療(ゲノム医療)が進んでいますが、更に最適な肺がん治療を確立するためには、遺伝子変化を有する肺がんの特徴を明らかにすること、まだ有効な分子標的薬が承認されていない肺がんに対して新たな治療薬を開発していくことが必要です。加えて近年では、遺伝子変化のみならず、がんで起こる蛋白の変化(蛋白発現変化)を標的とした治療薬の開発も進んでおり、このような蛋白発現変化を有する肺がんの頻度や特徴も明らかにしていく必要があります。 本研究では、肺がん患者さんを対象に、がんの遺伝子解析や蛋白発現解析を行い、様々な遺伝子変化や蛋白発現変化を有する肺がんの特徴を明らかにするとともに、新しい診断薬や治療薬の開発を手助けすることを目的としています。 【対象患者】 下記2つの研究に参加された患者さんを対象としています。 ①「RET 融合遺伝子等の低頻度の遺伝子変化陽性肺癌の臨床病理学的、分子生物学的特徴を明らかにする ための前向き観察研究(2013 年 2 月~2019 年 8 月)(以下、RET等低頻度肺癌観察研究)」 ②「アジア人の非小細胞肺癌における個別化医療の確立を目指した、遺伝子スクリーニングとモニタリングの ための多施設共同前向き観察研究(2019 年 6 月開始~2024 年 3 月登録終了)(以下、アジア人肺癌観察研究)」 【方法】 これまで行ってきた「RET等低頻度肺癌観察研究」、「アジア人肺癌観察研究」で集められた検体や研究データの二次利用に同意された方のみ、検体や研究データを本研究に引き継ぎ、本研究の中で行う解析に利用します。 また、この研究では遺伝子解析や蛋白発現解析の結果、薬剤の臨床試験の対象となるような遺伝子変化や蛋白発現変化が検出された場合、研究事務局の判断で、その解析結果と関連する臨床試験の情報を、担当医に報告します。その際に、一部の臨床試験についてはパラダイム・ヘルス社(Paradigm Health社)という臨床試験を支援する会社が「RET等低頻度肺癌観察研究」、「アジア人肺癌観察研究」の解析データや臨床データにアクセスして、臨床試験の対象となりそうな患者さんを抽出し、対象患者さんの情報の一部を、臨床試験を実施する製薬企業に提供する可能性があります。 更に、研究で得られた解析データや収集された臨床情報などの研究データは、国立がん研究センターの研究事務局及びLC-SCRUM-Asiaデータセンター業務を契約に基づいて委託した、株式会社Precision Medicine Asia(PREMIA社)に送られ、研究責任者・研究事務局の監督の下、特定の関係者以外がアクセスできない状態で保管、管理します。 本研究にかかる費用は、解析内容に応じて、日本医療研究開発機構(AMED)研究費、SCRUM-Japan参加企業、Thermo Fisher社が負担します。なお、解析費用を実際に負担する公的研究費、製薬企業に関しては随時変更となるため、国立がん研究センター SCRUM-Japanのホームページ(http://www.scrum-japan.ncc.go.jp/index.html)にその詳細を公開していますので、ご確認下さい。 【使用する情報】 研究に用いる検体は、患者さんの診療で診断や治療のために採取された肺がんの切除検体、生検検体、気管支洗浄液、胸水、血液等です。 収集する臨床情報は、診療施設名、年齢、性別、喫煙歴、同意取得日、提出検体の種類・採取日・採取方法・採取部位、組織型、Performance status(PS)、臨床病期、転移・再発部位、治療経過、治療効果、経過等です。「RET等低頻度肺癌観察研究」、「アジア人肺癌観察研究」で集められたこれらの検体や臨床情報を、二次利用に同意された方のもののみ、この研究で継続して使用します。 【情報使用の開始予定日】 2024年10月開始予定 【研究代表者および所属機関】 国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 後藤功一 【共同研究機関】 国立がん研究センター東病院 他 計188施設 |
問い合わせ先 ※ | 呼吸器内科 医長 関根 朗雅 〒236-0051 横浜市金沢区富岡東6-16-1 神奈川県立循環器呼吸器病センター 電話番号 045-701-9581 (代表) |
2024年7月作成
- 研究に試料・情報を提供したくない場合はお申し出ください。お申し出いただいても不利益を生じることはありません。上記の問い合わせ先までご連絡いただけましたら、その方の試料・情報は本研究に利用しないようにいたします。
- 問い合わせ先の担当者が不在の場合は、臨床研究室にお問い合わせください。