「特発性肺線維症の急性増悪(案件番号KCRC-24-0025)」(呼吸器内科)
臨床研究の名称 | 「トレミキシン 使用成績比較調査 <特発性肺線維症の急性増悪>」における非使用群の情報収集について |
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研究責任者の所属・氏名 | 呼吸器内科 部長 馬場 智尚 |
研究の概要 | 【目的】 トレミキシン※は、体外循環治療により、患者血液中のエンドトキシンを選択的に吸着除去することを目的とする血液浄化器として開発され、1993年10月に製造承認(適応:エンドトキシン血症に伴う重症病態あるいはグラム陰性菌感染症によると思われる重症病態(敗血症))の病態改善)を取得し、長年本邦で使用されてきました。 特発性肺線維症(以下、IPF)の急性増悪は、将来的な病気の経過が極めて不良であり、有効な予防法や治療法はまだ確立されていません。2014年から2018年にかけて当センターで実施された臨床研究「IPFの急性増悪患者に対するトレミキシンを用いた血液浄化療法の有効性及び安全性に関する探索的試験」では、予後の改善が期待される結果が得られました。2021年には、トレミキシンが希少疾病用医療機器に指定され、2023年3月には医療機器等条件付き承認制度を利用して製造販売承認事項の一部変更承認申請が行われました。その結果、トレミキシンの使用目的・効果として「既存治療が奏効しないIPFの急性増悪患者の病態の改善」が追加され、2023年12月21日付で薬事承認を取得しました。但し、本承認は医療機器等条件付き承認制度を利用し、限られた臨床データを基に承認を取得したため、IPFの急性増悪患者に対するトレミキシンを用いた血液浄化療法の有効性と安全性の確認を目的とする使用成績調査の実施を国(厚生労働省)から求められました。 今回実施するのは使用成績調査のうち使用成績比較調査に該当し、トレミキシンを使用した群とトレミキシンを使用しなかった群の患者さんの日常診療の情報を収集し、2つの群の患者さんのデータを比較します。 ※トレミキシン:ポリミキシンB固定化繊維カラムの製品名。全血血液灌流により、血中エンドトキシンを選択的に吸着除去することを目的とする。 【対象患者】この公開文書の対象者は、以下の通りです。 2015年8月31日(ニンテダニブエタンスルホン酸塩国内販売開始日)~2023年12月20日(トレミキシン承認日前日)にIPFの急性増悪を発症した患者さん(トレミキシンを使用しなかった患者さん) 【方法】 当センターで、Electronic Data Captureシステム(以下「EDC」)上で症例を登録したのち、診療情報をEDCに入力(収集する診療情報は個人を特定できないようにする)し、東レ株式会社へ提供します。なお、システムの管理は、イーピーエス株式会社が担います。収集された診療情報は東レ株式会社により解析を行い、IPFの急性増悪患者に対するトレミキシンを用いた血液浄化療法の有効性および安全性の比較検討に使用されます。また、本研究の成果を厚生労働省へ報告する他、今後の医療においてトレミキシンが適正に使用されることを目的に、医学会・医学雑誌等に公表されることがあります。公表に当たって、患者さんの個人情報が明らかにされることはありません。 【使用する情報】 1.患者さんの背景 性別、年齢、身長、体重、喫煙歴、アレルギー特異体質、妊娠、原疾患、合併症、既往歴、IPF慢性期の重症度(特発性間質性肺炎重症度分類)、過去の急性増悪の詳細(回数、直近の発症日) 2.本研究で対象となるIPF急性増悪の詳細(入院日、自覚症状、誘因、ICU入室期間、退院) 3.IPFに対する前治療、併用治療 4.IPF以外に対する併用治療 5.IPF急性増悪1年前から急性増悪12週後までの観察項目 生命予後、身体的異常所見、臨床所見、日常診療下で実施された検査等(肺機能検査、血液ガス検査(SpO2を含む)、血液検査、バイタルサイン、胸部画像検査(X線・CT))の結果 6.有害事象(IPF急性増悪後に発現した事象を収集する) 有害事象の種類、発現日、重篤性、治療の有無、被疑要因、転帰およびその判定日、有害事象に関連した検査結果 【提供の開始予定日】 2024年12月開始予定 【使用成績比較調査依頼者】 東レ株式会社 【共同研究機関】 日本医科大学付属病院、東京科学大学病院、東京医科大学病院、国立国際医療研究センター病院、虎の門病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、公立陶生病院、山口大学医学部附属病院、長崎大学病院、浜松医科大学医学部附属病院 |
問い合わせ先 ※ | 呼吸器内科 部長 馬場 智尚 〒236-0051 横浜市金沢区富岡東6-16-1 神奈川県立循環器呼吸器病センター 電話番号 045-701-9581 (代表) |
2024年11月作成
- 研究に試料・情報を提供したくない場合はお申し出ください。お申し出いただいても不利益を生じることはありません。上記の問い合わせ先までご連絡いただけましたら、その方の試料・情報は本研究に利用しないようにいたします。
- 問い合わせ先の担当者が不在の場合は、臨床研究室にお問い合わせください。