「間質性肺疾患(疑いも含む)、肺癌(案件番号KCRC-24-0026)」(呼吸器内科・病理診断科)
臨床研究の名称 | 共同研究:自己免疫性疾患関連間質性肺疾患の患者さんから採取された肺生検組織の解析 |
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研究責任者の所属・氏名 | 所長 小倉 髙志 |
研究の概要 | 【目的】 間質性肺疾患は幅広い病態が含まれ、原因がはっきりしない特発性から、原因を推定できる二次性に大別されます。二次性間質性肺疾患の多くは、過敏性肺炎や自己免疫疾患(膠原病)に関連しており、他に薬剤性や職業性等にも関連することがあります。自己免疫疾患関連間質性肺疾患に対しては、ステロイドや免疫抑制剤により治療されることが多いですが、それぞれの病型における分子標的治療の方法は確立されていません。この研究は、炎症や線維化に関与するとされるリンパ球や線維芽細胞等に対して分子学的解析(遺伝子レベルでの解析)を行い、それらを標的とした疾患特異的な治療法を確立することを目標としています。 【対象患者】 2004年1月から2024年10月までに、肺生検(主に外科的)や手術を受けた、下記➀~➃のいずれかに該当する患者さん ➀自己免疫疾患関連間質性肺疾患と診断された方 ➁特発性肺線維症・非特異性間質性肺炎等の間質性肺疾患の方 ➂間質性肺疾患を合併していない肺癌で手術を受けた方 ➃間質性肺疾患の疑いで肺生検を受けたが、非間質性肺疾患と診断された方 【方法】 上記患者さんを対象に下記試料及び情報を収集し、個人を識別することができない状態にした上で、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院エディ・キム研究室に送り、シングルセル(10xGenomics、個々の細胞において次世代シーケンシングを用いて網羅的に遺伝子の発現を解析する)によりパイロット検証を行います。その結果により、空間トランスクリプトーム解析法(Visium or Xenium、個々の細胞の遺伝子発現に加えて空間的分布を把握することで、細胞の状態及び動態、機能を明らかにする)への適用を検討します。それぞれの病型において解析、比較することにより、病態の解明、及び疾患特異的な分子標的治療について探求します。 遺伝子発現の解析のために抽出されたDNAやRNA及び解析データは、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院内の研究施設において研究コーディネーターによって厳重に管理されます。 【提供先の研究機関がある外国における個人情報保護】 この研究では、試料・情報を提供する研究機関はアメリカ合衆国(米国)にあります。米国は、連邦法と各州で制定される州法により個人情報に関する制度が整備されています。連邦法については、日本や EU のように、包括的な個人情報保護法はありませんが、「医療保険の相互運用と説明責任に関する法律(HIPPA)」があり、健康情報を保有する公的機関と民間機関に対する、プライバシーやセキュリティのルールを設定しています。 米国自体は、「欧州一般データ保護規則(GDPR)」に基づく無限定の十分性認定※2はされていませんが、2023 年 7 月 10 日に EU から米国への個人データの越境移転※3のための「EU-米 国間データプライバシーフレームワーク」※4に関する十分性認定がされています。また、米国は、日本も参加しているアジア太平洋経済協力(APEC)のプライバシーフレームワークへの適 合性を国際的に認証する制度(CBPR システム)に参加しています。 米国ではこのように個人情報保護制度が整備されていますので、あなたの個人情報は保護されます。 ※1 上記情報の詳細については、「【詳細版】米国における個人情報の保護に関する制度に関する情報等」(https://www.amed.go.jp/koubo/data_sharing_template.html)をご確認ください。また、「【詳細版】米国における個人情報の保護に関する制度に関する情報等」は調査実施時点(2023 年 6 月)における情報に基づく内容であることにご注意ください。 ※2 「無限定の十分性認定」とは、欧州委員会が特定の国や地域等が十分なデータ保護の水準を確保していると、一定の条件等を付けることなく決定することをいいます。 ※3 「越境移転」とは、個人データを外国の第三者がアクセスできる状態に置くことをいいます。 ※4 「EU-米国間データプライバシーフレームワーク」とは、EU と米国との間で制定が進められている、データ移転に関する合意枠組みのことをいいます。EU 域内から米国に対して移転される個人データに対して、同プライバシーフレームワークに参加した米国企業が適切なレベル の保護策を講じること等を定めています。 なお、本研究における試料・情報の提供に関しては、適切に契約を交わした後に実施します。 【使用する試料・情報】 試料:生検または手術を受けた際に採取した肺組織を用いて、診療に必要となる病理診断用に作製したパラフィンブロックのうち、診断が終了し、今後の診療において差し支えがないと判断される部位のパラフィンブロックを対象とします(提供前に患者様の状態と、パラフィンブロックに対応する組織の所見を呼吸器内科医と病理医が確認し、可否を判断してから送付します)。パラフィンブロックはエディ・キム研究室のみで使用され、解析終了後に当センターに返却されます。 情報:上記患者さんの背景(年齢、性別、喫煙歴、既往歴、合併症、家族歴、治療内容) 【使用・提供の開始予定日】 2024年11月開始予定 【組織の使用にあたって】 過去の通常診療で採取された組織検体を利用させていただくため、この研究に伴って新たに生じる身体への危険はありません。ただし、過去に採取した組織が小さい場合、この研究での使用によって組織量が更に少なくなったり消失したりする可能性があり、その後の追加検査に支障が生じたり追加検査が出来なくなることが稀にあります。 【研究代表者および所属機関】 ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 エディ・キム研究室 エディ キム / 神谷 麻里 【共同研究機関】 神奈川県立循環器呼吸器病センター |
問い合わせ先 ※ | 病理診断科 部長 澤住 知枝 〒236-0051 横浜市金沢区富岡東6-16-1 神奈川県立循環器呼吸器病センター 電話番号 045-701-9581 (代表) |
2024年10月作成
- 研究に試料・情報を提供したくない場合はお申し出ください。お申し出いただいても不利益を生じることはありません。上記の問い合わせ先までご連絡いただけましたら、その方の試料・情報は本研究に利用しないようにいたします。
- 問い合わせ先の担当者が不在の場合は、臨床研究室にお問い合わせください。