診療科のご案内 -呼吸器外科-

胸腔鏡下手術

胸腔鏡下手術とは?

 細い望遠鏡のようなものにテレビをつないで、小さい傷から体内に挿入して身体の中をテレビに写して観察し、さらに、特殊な道具を同じように体内に挿入して病気の部分を切除したり縫合したりする手術のことを内視鏡外科手術といいます。
 腹腔鏡下胆嚢摘出術が有名ですが、胸腔鏡下手術とは胸部に行う内視鏡外科手術のことです。多くの場合、全身麻酔下に何ヶ所か皮膚を切って行います。
 ちなみに(誤解しやすいのですが)、内視鏡下手術と言いますと、胃内視鏡や大腸内視鏡や気管支鏡などのファイバースコープを、消化管や気管支に挿入して行う手術のことで、たいてい局所麻酔で済みますし皮膚も切りません。

胸腔鏡下手術の道具 胸腔鏡下手術の場面
胸腔鏡下手術の道具 胸腔鏡下手術の場面
開胸手術との違い

 通常、肺がんの標準手術は、肺葉切除と言って片側の肺の1/3ぐらいを切除します。
 従来から行われてきた開胸手術は、肋骨や胸骨などの骨を切り、筋肉を切り、万力を逆にしたような道具を用いて胸を開け、目で直接見て手を入れて触り掴む手術です。これに較べて、胸腔鏡下手術は、骨は切りませんし、筋肉も繊維を分けて拡げても切ることはまずありません。当センターでは、かなり進行している場合を除き、ほとんどの症例で胸腔鏡を用いて肺葉切除を行っています。

胸腔鏡下手術の長所

 生体への手術侵襲が少ない(=低侵襲=体への負担がより少ない)ため、

  • 手術の傷が小さく、
  • 手術後の疼痛が軽い、
  • 呼吸機能低下が少ない、
  • 手術からの回復も早く入院期間も短縮される、
  • 手術前の生活への復帰が早い、

などの数多くのメリットがあります。

胸腔鏡下手術の短所

  • 触ることが出来ない、
  • 突然の出血に対応が遅くなる、
  • 使用する道具が限られるため、手技が限られる、

などの欠点もあります。胸壁合併切除、気管・気管支形成、血管形成等の難しい手術は胸腔鏡ではまだ難しいと言えるでしょう。

具体的には

 完全にモニターだけを見る手術(完全鏡視下手術)では、2~3cmぐらいの傷1ヶ所と、1cmの傷3ヶ所で行っております。モニターだけでは困難な場合は、傷を5~8cmぐらいに延ばして、肋間を少しだけ拡げて、大事なところは直接目で見ながら、見にくいところはモニターを見ながら手術を行います(胸腔鏡補助下手術)。

胸腔鏡下手術の場面(カメラスコープやその他の器具が小さい穴から入っている) 胸腔鏡下手術の場面(向かい合って別々のモニターを見ながら手術をしている)
胸腔鏡下手術の場面
(カメラスコープやその他の器具が小さい穴から入っている)
胸腔鏡下手術の場面
(向かい合って別々のモニターを見ながら手術をしている)

 いずれの場合も、開胸手術に較べて、手術の傷は小さくなり、手術後の痛みが軽くなります。また、体へのダメージが少なくなったために、大部分の方は手術からの回復も早くなって入院期間も短くなります。また、肺の手術をすると、肺の一部を切りとるために、どうしても肺活量などの呼吸機能が手術前より悪くなるのですが、胸腔鏡下手術では従来の開胸の手術に較べて機能低下が軽くなりました。そのため手術前の生活への復帰が早くなっているようです。

従来の肺がんの手術痕 胸腔鏡による肺がんの手術痕
従来の肺がんの手術痕 胸腔鏡による肺がんの手術痕
当センターでは

 当科では、かならずしも早期とは言えない場合でも、かなりの進行例を除いて、ほとんどの症例で胸腔鏡を導入しております。胸腔鏡下手術は、低侵襲手術ですので、肺葉全体を切除する場合でも、前述のような多くのメリットがあります。
 なお、「リンパ節の郭清(がんの周りのリンパ節を一塊にして切除すること)が甘くなる危険がある」等の批判もありますが、開胸と同等のリンパ節郭清は可能であると自負しております。郭清の程度を徹底することが予後の改善することにつながるかどうかについては、学問的にも論争上の問題であり解決していませんが、標準的レベルの郭清は、通常の胸腔鏡下肺葉切除で十分可能であると考えています。
 また、私たちの実際の手術後の予後成績は、公表されている一般的な肺がんの手術成績に遜色ありません。

十分な話し合いのうえに

早期発見

 今まで診断が困難であった10mm以下の小型で非常に早期の段階の肺がんが、CTの発達によって診断が可能となりました。当センターでも肺がん専門CT検診を行っており、高性能のCTを用いて数多くの早期肺がんを発見しております。
 このような早期の小型の肺がんの一部は、通常行うように肺葉(片側の肺の1/3から1/2)の全体を切除するのではなく、もっと小さく、腫瘍とそのまわりだけ切除する部分切除(楔状切除)でも再発はほとんど起きないことを訴えてきました。しかも、胸腔鏡を用いれば、大きく胸を開けることなく、1cm程の傷3カ所ぐらいで切除が可能です。これは、早期発見された小型の胃がんや大腸がんのなかで、ごく早期のものは内視鏡を使った粘膜切除が行われているのと似ています。最近では学会でも同様の見解が多くなっています。
 当科では、説明に納得をいただき、患者さんからインフォームドコンセントが得られた場合には、従来の標準的な手術(開胸下の肺葉切除)より縮小した手術として、胸腔鏡下の肺部分切除(楔状切除)術または肺区域切除術という体にダメージの少ない手術も行っております。

進行した症例

 以前は、胸腔鏡下手術は良性の疾患と比較的早い時期の肺がんの患者さんを中心に行なっていましたが、最近では、ご本人やご家族とのインフォームドコンセントが得られれば、比較的進行した症例にも胸腔鏡を使用し、低ダメージの効果を得ています。
 残念ながら既に進行してしまっている場合でも、手術が可能な段階であれば、できる限り根治的な手術を検討します。昔なら手術不可能であったケースでも、技術の進歩によって、ずいぶん手術が可能となりました。
 当センターでは、気管・気管支形成や血管形成のみならず、心臓血管外科と連携して、大血管・心浸潤例の切除も豊富に経験しています。しかし、進行例は手術だけでは十分と言えないケースが多く、抗がん剤や放射線治療を組み合わせて追加治療を行っております。副作用やメリットをご本人やご家族と十分に話しあって、その方にもっとも適していると思える治療を選択していただくよう努力しております。

診療受付時間

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※曜日により診療科が異なります。

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