
麻酔について
心臓血管外科手術の麻酔について
CABG(冠動脈バイパス術)、弁手術、大血管手術
全身麻酔で行われ、患者さんが就眠後、気管内チューブ、肺動脈カテーテル(心臓の機能や全身の酸素供給状態を観察するのに用います)、中心静脈カテーテル(体の中の水分の量を推定したり、重要な薬の投与ルートとして用います)、尿道カテーテル(尿の出口)、経食道エコー(心臓の機能の評価に用います)が挿入されます。手術中は主として吸入麻酔薬(人工心肺中は静脈麻酔薬)が投与されます。その他、心臓の動きを助ける薬、血圧を上下させる薬、利尿薬等多様な薬剤が使用されます。手術後は、しばらく人工呼吸下で眠っています。
腹部大動脈瘤手術
可能な場合は、術前日に背中から硬膜外カテーテルという細い管を脊髄の近くに挿入して、全身麻酔と併用します。出血傾向がある場合など全身麻酔単独で行う場合もあります。患者さんの就眠後、中心静脈カテーテル、尿道カテーテルが挿入されます。原則として手術室で覚醒します。
下肢静脈瘤手術
全身麻酔あるいは硬膜外麻酔、脊椎麻酔の併用でおこないます。通常手術室で覚醒して一般病棟へ戻ります。
人工心肺の操作
- 心臓を止めたり、大血管の手術の場合心臓や肺の代わりとなる機械を人工心肺といいます。
- 血液を一時的にポンプを用いて体外に導き、人工の肺で二酸化炭素を取り除き酸素を添加します。その後再び患者さんの体内に戻します。
- 当院では人工心肺の操作をMEが担当しています。手術中の患者さんの状態を連続的に把握することにより、安全な麻酔管理に役立っています。
肺外科手術の麻酔について
- 硬膜外カテーテルを挿入し、硬膜外麻酔と全身麻酔の併用あるいは全身麻酔単独で行います。
- 分離肺換気気管チューブを用いて片側換気(非手術側の肺のみの人工呼吸)が行われます。
- 原則として手術終了後、手術室で覚醒します。
麻酔中のモニター
- 手術室全室に心電図、血圧(動脈血圧、中心静脈血圧、肺動脈血圧、左房圧など)、体温を表示するモニター、経皮的酸素飽和度モニター、呼気二酸化炭素モニター、吸入麻酔薬濃度計、酸素濃度計、脳波モニター(BIS)、完全静脈麻酔シミュレーターを備えています。
- その他、脳組織酸素飽和度モニターも症例に応じて使用します。
- 心臓手術中あるいは心機能のモニターが必要な場合は、経食道エコーを用います。
- 肺外科の手術の場合は気管支ファイバースコピーを用いて気管・気管支の観察を行います。
術後の鎮痛
- 術後の鎮痛方法は硬膜外カテーテルが入っている場合、持続的に(フェンタニル+)局所麻酔剤を専用の注入容器を用いて注入します。
患者さんが痛みに応じて鎮痛薬を追加投与できるPCAと呼ばれる機器を使用しています。 - 硬膜外カテーテルが入らない場合は、鎮痛薬を静脈内持続注入するPCA機器に加え、各種薬剤の静注、筋注、坐薬の使用を行っています。
集中治療
- 集中治療麻酔科は各科と協力して集中治療室(ICU:intensive care unit)を運営管理しています。
- 重症度の高い患者さん、手術後の多くの患者さんは集中治療室に入室して、状態が安定するまで滞在します。
- 集中治療室は手術室の隣に設置されており、手術後の移動が円滑に行われるようになっています。
- ベッドサイドには看護師が常駐し、患者さんの容態を見守っています。
- ICU管理ベッドは6床で、うち3床のクローズドベッドを感染症等の場合使用することがあります。
- モニターとして各ベッドサイドに集中管理があり、その他人工呼吸器5台、血液ガス測定装置1台、血液浄化装置2台、大動脈バルーンパンピング装置2台などが装備されています。
- 集中治療室のベッドは大きく開かれた窓に向かって置かれています。窓からは東京湾と遠く千葉の山並みを望むことが出来ます。春には、目の前の桜並木が満開の花を咲かせます。
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